短編集 | ナノ

 7







だがその痛みさえも今の明美にとっては甘美な刺激に変換される。そして叩かれたことが決定的な刺激になったかのようにガクガクと明美の身体が震え出した。もはや自分の力では身体を支えることなど出来そうにもない。

だがそれを許さんとばかりに琢磨から「倒れるな」と叱声が飛んだ。



「上半身を床に付けてろ」

「……、こう?」

「違う。尻だけ上げるんだよ」

「ひ、っん!」

まるで物覚えの悪い動物を躾けるかのように、琢磨は明美の尻を再度叩く。これ以上怒られれないように、これ以上嫌われないように、必死に琢磨の言うことを聞こうと頑張る明美だが、快楽に弱いその身体は明美の意志に反して上手く言うことを聞いてくれない。



「ごめ、んなさ…い」

必死に言われた体勢を取る明美の目からは大粒の涙が零れていた。


身体を震わせながら、無意識に物欲しそうに淫らに揺れる尻。
下半身はドロドロで、泣きながら素直に従う明美のその姿に興奮しない者など居ないだろう。それはもちろんこの場に居る琢磨にも言えることだ。
男であろうと女であろうと関係ない。
こいつの存在自体が媚薬なようなものだと思いながら琢磨は目を細めた。

どれだけ己が淫らな姿をしているのか鏡でも持ってきて見せてやりたいと思考を馳せながら琢磨は一度だけ舌打ちをする。


「………」

そして琢磨は毛の一本も生えていない潤ったその周辺を指の腹で一巡させた。
男を食いまくっているくせにやけに綺麗な桃色をしてやがると琢磨は思いながら辺りを弄る。その度に明美の尻の穴は物欲しそうにヒクヒクと収縮していてまるで誘っているようにも見て取れた。
琢磨の喉は知らずの内にゴクリと鳴る。


「…入れるぞ」

視覚から存分に煽られた琢磨は前戯さえももどかしい。早く奥の奥までぶちこんでやりたいといういう雄の欲望を抑え込んで、明美の穴に節ばった指を一本宛がった。


「……ん、…」

それに応えるようにコクコクと必死に頷くのは明美。
だがその返事さえもどうでもいいと言わんばかりに、琢磨は荒々しく強引に指を奥まで刺し込んだ。


「ひ、ぁっ?!」

何とも例えようもない異物感に喉を反らして喘ぐ明美。
男性経験がないといっても、一人寂しい夜は自分で尻の穴を弄ってオナニーをしていた明美だ。腸内洗浄も両手で数える程だが自分でしたこともある。
だが例え指を入れたのは初めてではないといっても、他人の指を迎え入れたのは初めてだ。自分の予想できないタイミングで動き、自分とは全く違う太くて長い琢磨の指は想像以上に異物感があり、痛みも伴えば快感もある。


「あ、っ…ひゃッ」


自分の指では到達したこともない場所まで一気に入り込んでくる琢磨の指に耐えるように明美はベッドシーツを強く握った。


「ふぁ…あ、奥、だめ…深い…っん」

「……狭ぇ」

そして琢磨はといえば、たった指一本しか入れていないというのにギュウギュウと己の指を美味しそうに銜え込む明美のその締め付けの良さに興奮をしていた。







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