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「……え?」
突然の事に把握出来なかった明美は桜色に頬を染めたまま、無垢な表情を琢磨に向けた。
そしてそんな無垢な明美を汚すのが楽しいとばかりに鼻で笑った琢磨は、自分の手の平に付着している明美の精液を塗り付けるように、明美の頬を撫で上げる。
「っ、」
その琢磨の行動にはさすがの明美も眉を顰めた。
当たり前だ。自分の吐き出した青臭い精液を頬に塗り付けられたのだから。
眉を顰め、息を止めようと試みていた明美に、琢磨は今度はゆっくりともう一度命令を繰り出す。
「這い蹲って。俺の手を舐めろ」
「………」
「…返事は?」
「……、ん」
這い蹲って琢磨の物を舐めろと命令されていれば、少し恥ずかしいものの拒否することなく明美は頷いただろう。いくら愛する者の手だろうと、自分の精液を舐め取るのはまた話が別なのだ。
だけどどんなに嫌でも明美には拒否権などない。嫌悪を露にしながらも、明美は一度だけゆっくりと頷いた。
「いい子だ」
「……っあ、」
そしてそんな明美に待っていたのは、初めて見せた琢磨の“飴”。まるで子猫を可愛がるかのように明美の喉元をその男らしく無骨な指で撫でたのだ。
その琢磨の行動に明美の背はブルッと震えた。
それほどまでに明美にとっては甘美な褒美だったらしい。
次に明美が思うのは「もっと褒めて貰いたい」ということだけ。先程までは嫌だと思っていたのだが、明美は指示されていた通り四つん這いになり自分の精液が付着した琢磨の手を舐め始めた。
「…、っ、ん」
自分の吐精物だということを深く考えないように赤い舌を出して舐めていく明美。変な味と臭いがするけれども、琢磨の手を舐めていると思えばそことまで苦にはならないようだ。
「うめぇか?」
「…ん、っ」
美味しいわけがない。
それは訊ねた琢磨も分かっている。
だが明美は否定もせずに、肯定とも取れるような曖昧な反応を琢磨に返した。
そして琢磨といえば、指示した通り這い蹲って自分の手をペチャペチャといやらしい音を立てて舐める明美を見て口角を上げて笑う。自分の吐き出した精を舐めて興奮しているのか、次の刺激を待っているのか分からないが、物欲しげに緩やかに揺れている明美の尻を見て舌舐めずりをする琢磨。
もはや琢磨自身が意識する前に“男同士”という嫌悪感は疾うになくなっているらしい。
「おら、尻が揺れてるぞ淫乱」
「ひ、っ…ン?!」
そして琢磨は目の前で淫らに揺れる明美の尻を叩いた。パンッと大きな音を立てて叩かれた明美はおもわず悲鳴のような声を上げる。それもそのはず。一度叩かれただけだというのにその部分は、赤く腫れ上がってしまったほどだ。
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