▼ おまけ
「空、泣くなって」
「う、ん…」
子供のように可愛らしく泣きじゃくる空の顔中にキスを送る。そうすれば空は少し恥ずかしそうに、だが何処か嬉しそうに涙を流しながら笑う。その笑顔でさえもまた一段と愛らしく思える。
「………、」
…俺、空にベタ惚れじゃねぇか。何で今までこの気持ちに気が付かなかったんだろうか。もっと早く気付いていれば誰も傷付きもしなかっただろうに。…今更そう思っても後の祭りだが。…俺って意外と鈍いのか?いやいや、そんなことねぇよな。
そんな事を思いながら悶々としていると、急に空から「ごめん」と謝られた。
「…どうした?」
「いや、その…」
「……?」
「俺、陸も…さやかさんも傷付けちゃったから」
俺とあの女に、空が?
むしろ逆じゃねぇのか?
すると空は事細かに話してくれた。
ずっと前から俺の事が好きだったこと。
だけどそれを打ち明ける勇気はなかったこと。
でもどうしても俺を諦めきれなかったこと。
だから「3P」という話を俺に持ち掛けたこと。
「お前…」
「陸と直接出来なくても、…どうしても陸のそういう“雄の顔”が見てみたかったんだ」
「………」
「ご、ごめん!…やっぱり、嫌いになった、かな?」
不安そうに俺をジッと見つめてくる空。
俺が空を嫌いになることなんて絶対にはない。だが、俺は少しばかり驚いている。空にもそういう欲求があったのかと。
「空は性欲とかねぇのかと思ってた」
「…お、俺だって男だよ…っ」
「お前そういう話今までしたことなかったじゃねぇか」
「だって、陸とそういう話したら、…へ、変な気分になっちゃうし」
「……!」
か、可愛い事言ってくれるじゃねぇか。まじでムラムラしてきたんだが…。俺をこれ以上煽ってどうするつもりだよ…。
「最初は凄く満足だったんだ。陸がさやかさんとしているのを見るのは少し辛かったけど、…陸のそういう部分を見れて凄く興奮してた…。だけど、やっぱり、…後から辛くなって、」
「………」
「自分から言い出したことなのに、俺が中途半端な事するから、陸もさやかさんも傷付けちゃった…」
しょぼんと落ち込む空の頭を俺は撫でてやる。すると空は少し言いにくそうに「…だけどね」と話を続けた。
「……どうした?」
「お、俺少しだけ良かったなって思うことがあって」
「何だ?」
「り、陸のこと気持ち良くしてあげられる!…俺、口でするの、…少しは上達したでしょ…?」
「……っ」
「…俺、家に帰って一人で練習してたし…!」
「……?!」
れ、んしゅう、だと?どういう意味だ?
そのままの意味で捉えていいのか?
そ、空が練習。俺のために。
何で?…食べ物とかか…?!
やべ、妄想止まらねぇ。
意外と積極的な一面を持つ空に、俺は無駄に煽られながら、襲わないように必死に理性を保っていたのだった。
END
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