短編集 | ナノ

 番外編@



空の一人エッチ話。まだ3Pをする前の話。ど淫乱注意。






大学に入り陸と出会うまで、俺はそっちの方面の事はかなり疎かった。一人ですることもほとんどなかったし、するといっても何も考えず義務的に欲を吐き出していただけ。そんなので気持ちがいいのかと問われれば、迷わず首を横に振っていただろう。

だけど、…陸の事が好きで好きでどうしようもなくなったあの日から、一人ですることが格段に多くなった。陸が俺の名前を呼んでくれたとき、頭を撫でてくれたとき、褒めてくれたとき、呆れられたとき、怒られたとき、…色々な陸の表情や声を思い出しながら一人でする。今までは全然気持ち良くなかった自慰が、堪らなく気持ち良く感じた。


「は、あ…ンっ、陸…」


そして今日も今日とて、陸を思いながら一人エッチをしている。俺がこんなにも欲に飢えていると知ったら、どんな風に思われるんだろうか。…気持ち悪がられるかな?それは嫌だ…。


「ん、あ…ァ、」

クチュクチュと卑猥な音を立てながら、ペニスを扱けば背筋がゾクゾクっと震える。時々袋を揉み、そして先端に爪を立ててみる。そうすればもう声なんて抑えきれなくて、先走りをベッドシーツに付着させながら前のめりに倒れ込んだ。


「ん、ん、陸、りく…はァ」

四つん這いの体勢になり、シュッシュッと皮膚が擦れ合う音を聞きながら何度も愛しの人の名前を呼ぶ。そうすればもう射精はすぐだ。


「は、ン…っ、ふあ…」


毎夜性を吐き出しているというのに、俺のペニスからは大量の精液がビチャビチャっと噴出す。それは片手で受け止められなくて、先走り汁と同じようにシーツに付着してしまった。…あーあ、汚いとボソリと呟きながら他人事のように染みになっていくのを見続けた。そして俺は箪笥の奥底にしまっているある物を取り出す。


「ン、」


それは男性器が模られたリアルなディルド。迷った挙句通販で頼んだ物だ。頼むのは恥ずかしかったけれど、今ではいい買い物をしたと思っている。俺はそれを愛しげに見つめた後、自分の精液が付着している手の平で擦ってあげた。無機物だけど、これが陸の物だと思いながら扱いてあげれば俺の身体の熱も上がっていく。


「…早く、欲し…っ」

興奮のあまり口内に溜まった唾液をゴクリと音を立てて飲み込む。自分で開発してしまったお尻の穴に指を一本入れて中の具合を確かめる。…もう慣れたものだ。このディルドだってもう何十回も何百回も入れたことがある。抵抗があったのも、痛みがあったのも最初だけ。今ではもうこれがないと物足りないくらい。


「ん、っ、…はぁ、入る、かな?」


お風呂で洗浄した後、指で少しだけ解していたため、これなら受け入れることが出来るだろう。俺は息を吐きながら、お尻の穴にディルドを宛がう。


「…ああ、ァ!」

ぬぷぬぷと卑猥な音を立てながら俺の中に入ってくるディルド。硬くて気持ちいい…。俺はうっとりとしながら涎を垂らして悶えた。


「ひああ…ァ、ああン」


気持ちいい、気持ちいい。
狭い腸壁をこじ開けていくように少し強引に入れていけば、先程達したばかりだというのに俺のペニスは再び完全に勃ち上がる。


「ン、ゃあ…ァ」

ペニスを弄って自慰するのとは全然快楽が違う。もう俺は後ろの快楽を覚えてしまったから。根元まで突き入れれば、ペチッと睾丸が尻たぶに触れる。睾丸まであるとは本当にリアルなディルドだと思う。このディルドが陸の物だと想像しながら、俺は抜き挿しを始めた。

「陸、り、く…ああっ」

もう手が止まらない。太いカリで奥をズドンズドン突かれるが堪らなくいい。陸はこんな風に俺を攻めてくれるのかなと思いながら穴の刺激に悶えた。


「はあ、あ、きもち、…りく…っ」


ゴリゴリ気持ち…っ。
もっと激しく、俺を壊して欲しい。ディルドを動かす手が少し疲れてきたのだが、今更手なんて止められない。もっと、もっと気持ち良くなりたいから。隣に住んでいる人に自分の喘ぎ声が聞こえてしまうかもしれないと不安になるのだが、声を抑えることが出来ずに俺は本能に従いそのまま喘ぎ続けた。


「ひ、ぐ…ああ、そこ、ン、」

気持ち良すぎて自分の穴が淫らにもヒクヒクと収縮し出したのが分かった。入っているディルドを締め付ける度に、リアルに再現されている浮き上がった脈の硬さまで分かり俺はあまりの快楽に首を横に激しく振る。


「あ、あぁ、っ、イく、イっちゃう…っ」


陸、陸、もうイっていい?と上ずった声を出しながら一人呟いた。一向に返ってこない返事に焦れながら、俺は本日二度目の射精を迎えた。


「ン、…はぁ…ぁ」


ぽふんとベッドに身体を沈める。
疲れて指先すら動けぬまま、息を整える。


「………」


自慰は好き。ペニスを扱くのも、後ろにディルド入れるのも。だけど終わった後のこの時間が大嫌い。凄く虚しいから。未だに突き刺さったままのディルドを抜くのも億劫。酷使しすぎた右腕を動かして、奥まで入り込んでいるディルドを抜く。


「ふ、あ…」


ぬぷっと音を立てながらディルドはベッドの上に落ちる。…この瞬間が一番虚しい。だからオナニーは好きだけど、それと同じように嫌い。だけど馬鹿な俺は多分明日もするだろう。今日と同じように陸の事を思いながら、こうして自己嫌悪するのだ。

あーあ、一人じゃ寂しいな。


俺はそんな事を思いながら片付けを始めた。





END




おそらく拙宅では一番の淫乱っ子。
少しは羞恥はあるけれども、気持ち良過ぎて欲に従う空君。さーて、次は陸に見られながら一人エッチする空を書きたいな(^p^)



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