▼ 8-9
胸に挟んで擦るというよりも、これでは胸を寄せるために添えている手で擦っているというのに近いと俺は思った。先輩が指示して掛けた唾液のお陰で、滑りが良くなり先程より一層動きやすくなったものの、やはりまだやりにくい。
「ん、」
不意に漏れてしまう声が本当に恥ずかしい。だって時々先輩のペニスが俺の乳首に当たるから。
…今では恥ずかしいことに、俺の乳首はプクンと立ち上がっている。その事に先輩は気付いているのだろうか。そうだったら、本当に穴に埋まりたいほど恥ずかしい。
「もも」
「…は、はいっ」
「手を動かしてみな」
「手、ですか?」
「ああ」
手を動かせ、と言われたもののどう動かせばいいのか分からない。眉間に皺を寄せてどうしたものかと思案していると「胸を動かすように手を上下に動かしてみろ」とすかさず指示が入った。
俺はそれにもう一度、はいと答える。
先輩を気持ち良くしたくて積極的に頑張っていたつもりだったが、今では先輩の指示待ちだ。でも先輩も楽しそうだし、…これはこれでいいのかな?
俺はそう考えながら、胸に添えている手を動かし始めた。
「…ん、っぅ」
「……は、」
すると先輩のペニスが唾液の滑りのお陰で、上手く擦れる事が分かった。そうか胸が小さくて挟めない分、こうして擦ってあげれば、幾分かは気持ち良くなれるのか。その証拠に頭上で東堂先輩が熱い息を吐いたのが分かった。
「ひ、…ァ、」
しかし、これはあれだ。
…先輩を気持ち良くしてあげているだけなのに、俺も変な気分になってくる。東堂先輩の熱くて硬いペニスに両方の乳首が擦れる度に、変な声が漏れてしまう。先輩のペニスは俺のとは全然違って、脈が浮き上がっているし、それに乳首が当たる度に下半身がズクンと疼く。
…男のくせに、乳首で感じるっておかしいよなやっぱり…。
「せ、んぱい?」
「…は、…どうした?」
「い、いえ、何でもないです…っ」
この後の指示が欲しくて先輩に聞こうとしたのだが、思いの外、先輩の声がとてもエロくて俺は聞くのを止めた。
な、何だ、今の声は…。格好いい、反則だ。
次の指示がないのなら仕方ない。指示を待ってばかりではいけないと思い、俺はもっと先輩に気持ち良くしてあげるべく、滑りを良くするため自主的に唾液を垂らす。恥ずかしいけど、ここまできたら開き直るしかない。先輩のペニスに掛かるように自分の唾液をツーと垂らす。…凄い、変な感じだ。
そして唾液の滑りを借りて、先輩のペニスを胸と手を使って擦ってあげる。
「…ン、く…っ」
あ、…やばい。
やっぱり、俺も気持ちがいい。声抑えられそうにないかも。
「ぁ、ぅ、…ふァ」
しかし変な感じだ。こんな間近に先輩のペニスがあるのだから。やっぱり俺のとは全然違うとまじまじと見てみれば、俺の唾液とは少し違う、白く濁った液体が先輩のペニスに付着しているのが見えた。
こ、これって、もしかして…、さ、先走りというやつなのかな?
先輩がちゃんと気持ち良くなってくれてる証拠だ。
「……っ、」
や、やばい。嬉しい、かもしれない。
自分のこんな拙いパイズリ…、というかパイズリもどき?に気持ち良くなってくれてるなんて。どうしよう、嬉しい。
先輩のペニスの先からドプンと次から次に溢れてくる先走り汁を間近に見ながら、俺は胸を高鳴らせていた。
「ン、」
先輩、好き。
凄く、好き。恥ずかしいけど、パイズリやってみてよかった。溢れてくる先走り汁が愛しく感じて俺はそれを見続ける。自分の愛撫で気持ち良くなってくれるなんて、嬉しい。
「…く、」
そして先輩の呻る様な声を聞いて、俺はそこで我に返る。どうやらほんの少しトリップしていたようだ。
気が付けば愛しいと感じるあまり、東堂先輩のペニスを胸の間に挟んだまま、溢れてくる先走り汁を舌で舐め取っていたようだ。
うあ、苦い…。
独特の苦味に顔を顰めていたら、急に身体を押し倒された。
「わ…っ?!」
驚きに声を上げる。瞑っていた目を上げれば天井と眉間に皺を寄せて余裕のなさそうな表情をしている東堂先輩と目が合った。
「東堂、先輩?」
「…もも」
「……あ、あの、勝手にごめんなさい」
ど、どうしよう。きっと先輩は俺が勝手に舐めた事怒ってるんだ。そうだよな、だってそんな事指示されてないし。俺の上に跨っている東堂先輩にもう一度謝ろうと口を開けた瞬間、…俺は謝罪の言葉を上げることが出来なかった。
「ひ、…ぁ?!」
だって先輩が俺の上に跨ったまま、勃起したペニスで俺の乳首を擦ってきたから。謝罪の言葉が喘ぎ声に変わってしまったのだ。
「せ、んぱい、…や、やめっ、ひ…ぅ!」
俺のほんの少しある胸の膨らみを、凶器のようなペニスで何度も叩いてくる先輩。ペチペチと鳴る音が凄く卑猥だ。
うう、なにこれ。エロいっ。
「…ふ、ァ…っ、お、怒ってるんですか…?」
「怒ってない」
「で、でも」
「それどころか、今はすげぇ気分良い」
「そう、なんですか…?」
「ああ」
怒って、ないのかな?
「だが、やはり俺にはこれ以上無理だ。」
「……?」
「元々受身は性に合わねぇ。」
「せんぱい…、」
「俺を煽った責任、…取れよ?」
ニヤリと笑う先輩の悪どい笑みに見とれていると、先輩が俺の胸を寄せ、その間にペニスを宛がってきた。
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