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「…ンっ」
不意に漏れてしまった声が凄く恥ずかしく思える。でも自分の胸の間に東堂先輩の熱いペニスが当たってびっくりしてしまったのだから仕方のないことだ。
俺はこの調子で挟んで、一気に東堂先輩を絶頂にイかせてあげようなどと、俺にしては酷く淫らで前向きな事を思いながら、自分の胸の間にある東堂先輩のペニスを挟もうとした。
「…あ、れ?」
…のだが、想像していたように挟めない。
頑張って寄せようとしても東堂先輩のペニスは俺の胸の間に挟まってくれない。
「っ、…ぅ…あァ…、」
上手に挟めないことに焦って俺は、自分の胸をもっと寄せようと両手に力を込める。しかしやはり挟めることはなく、それ以上に自分の両乳首が東堂先輩のビクビク脈打っているペニスで擦られ上ずった声が出てしまう。
やはり俺には無理なんだ。
男のくせにこんな気持ち悪い膨らみがあるだけで、全然役に立たない。好きな人を気持ち良くしてあげる事すら出来ない。…本当に俺は役立たずだ。
「……、」
このままだったら俺は、…東堂先輩に捨てられてしまう。それだけは嫌だっ。
そう思った俺は、泣きそうになるのを堪えて、みっともなくも東堂先輩に助けを求めた。
「せ、んぱい、…挟めないですっ」
「……っ、」
東堂先輩を見上げる。
すると胸の間にある東堂先輩のペニスが、ドクンっと大きくなった。
「…ひ、ぁ?!」
ま、まだ大きくなるの?さっきだって十分大きかったのに…。む、無理だ。俺にはこんな大きいの挟めるわけがない。
「せ、んぱい」
俺には無理です。止めさせてください。そう東堂先輩に正直に告げようとした瞬間、「は…っ」と東堂先輩は熱の篭った息を吐いた。そして俺の髪の毛を、先程よりも力の篭った熱い手で撫で回す。
「そのまま、続けろ」
「…で、でも」
「いいから」
「……せ、んぱい」
「続けてくれ。…な?」
「は、はい…っ」
俺が止めようと言い出すのを分かっていたかのように東堂先輩は先手を打ってきた。こんな風に優しく頼まれたのでは、やめるわけにはいかない。
それに東堂先輩から頼んできてくれるって事は、少なからず満足はしてくれているって事だよな?…そう考えてもいいよな?
しかしこれからどうすればいいのか分からず、俺は固まる。すると先輩は「俺が言う通りにやれるか?」とすかさず指示をくれた。
俺はもちろん頷く。
恥ずかしいけど、少し怖いけど、先輩に飽きられてしまうよりかは全然マシだ。俺の返事に満足したのか、先輩は再び俺の頭を撫でてくれた。
「もも、そのまま唾を垂らしてみな」
「……え?」
しかしその優しい手付きとは裏腹に、先輩の指示は容赦ない。俺は再び固まってしまった。
つ、唾?
え?何で?
「き、汚いですよ…っ」
「汚くねぇ。…ほら、やってみろ」
「…で、も、東堂先輩…っ」
「もも」
「……っ、」
「やれ」
「は、い」
拒否したかったけど、拒否は出来なかった。だって先輩の低い声がそれを許してはくれなさそうだったから。…怒らせてしまったのかな?俺は不安になってチラリと上目で先輩の表情を覗き見る。
しかし想像していたような表情ではなく、先輩の表情は何処か余裕のなさそうな表情をしていた。
俺は東堂先輩のその表情を見て、胸が高鳴った。
か、格好いい。
「…や、ります…ね」
「ああ」
俺は東堂先輩に指示されたように、唾液を垂らす。ツーと透明の糸のように卑猥に垂れ落ちる。俺の唾液は自分の胸の間と、そして胸の間にある東堂先輩のペニスに掛かる。
恥ずかしくて胸を寄せるために支えている両手を動かせば、ヌルリといやらしく東堂先輩のペニスが俺の胸の間で擦れる。
「…ぁ、ゃっ」
「…あー、エロい」
「せ、んぱい」
唾液を垂らした意味を俺は理解した。
多分滑りを良くするためだと思う。ヌルヌルと自分の胸の間で東堂先輩のペニスはまるで凶器のようだと俺は思った。
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