▼ 8-7
俺はベンチに座っている東堂先輩の足元に跪く。降り注がれる東堂先輩の視線から逃れたくても逃れられない。その所為で余計に緊張してしまい、震えてしまう手。そんな情けない姿を東堂先輩に見られるのが恥ずかしくて、俺はそれを誤魔化すように性急に東堂先輩のズボンに手を掛ける。
だけどやはり手は震えてしまって、思うように手を動かせない。自分もいつも着ている制服のズボンなのに、焦りで脱がし方までもが分からなくなってくる。
「……あ、んまり見ないでください」
「何でだ?」
「手が、震えちゃう…っ」
うう、東堂先輩が意地悪だ。
緊張のあまり手が震えている事に、東堂先輩が気付かないわけがない。あえて知らないフリをして、理由まで聞いてくるなんて…。
頭上で東堂先輩がくくっと喉で笑ったのが聞こえてきて、俺は赤くなっている頬を更に赤く染めた。
「………っ」
駄目だ、俺から仕掛けているというのに完全に東堂先輩のペースだ。このままでは東堂先輩を気持ち良くしてあげれない。
俺は震える手を何とか動かして、ズボンのホックとチャックを下ろす。これだけの単純作業なのに、緊張からか額から汗が流れ落ちた。
「………」
さて、この後どうすればいいのか。ズボンの前を寛がすだけで精一杯だったから、全く考えてもいなかった。えっと…、ぱ、パイズリ?をするなら、その…、先輩の物を取り出さないといけないんだよな?
「……っ」
静かな室内には俺の喉が鳴る音が妙に響いた。
チラリと視線を上げる。すると見ないでと言ったのに、東堂先輩は相も変わらず俺を見ている。
でもここまで頑張ったんだ。ここで止めるわけにはいかない。
俺は東堂先輩の熱の篭った視線を浴びながら、先輩の下着に手を掛けた。
「…あつ、い…っ」
下着越しに先輩の物に、そっ…と触れた。それは布越しなのにとても熱く感じた。俺は口の中に溜まった唾液をもう一度飲み込んで、ボクサーパンツを下にずらす。
すると勢い良く中から先輩の物が出てきた。
「……ひ、っ」
ブルンと勢い良く出てきた先輩のペニスを間近に見た俺はおもわず悲鳴を漏らしてしまった。だ、だって俺のと全く違う。こんなの見たこともない。
色だって大きさだって形だって、俺の子供みたいなペニスとは全然違う。何だかとても卑猥でグロテスクだ。
「せ、んぱい…っ」
やばい、心臓煩い。馬鹿みたいに緊張している事、先輩に気付かれてしまう。
何とかそれに気付かれないように深呼吸を数回繰り返していると、東堂先輩に笑われてしまった。
「もも、可愛い」
「……ぁ、ぅ」
「心臓の音、すげぇ」
「…っ」
でも近くに居る東堂先輩には俺の心臓の音がばっちりと聞こえてしまっているようだ。
やだ、もう恥ずかしい…っ。
「…ん」
早く終わらせてしまおう。先輩の事いっぱい気持ち良くしてあげたいのは山々だけど、このままだと俺の心臓が持たない。
「……、」
先輩から脱がされ、俺が着ているシャツのボタンは外れている。それは良かったかもしれない。だってこんなに手が震えていたらボタンも外せなかったかもしれないし。
俺は自分の胸の膨らみに手を添えて、先輩の立ち上がっているペニスに近付く。
「…は、さんで、いいですか?」
一応訊ねるべく、チラリと先輩を見上げる。
「……っ」
すると東堂先輩からは、先程までの余裕そうな表情は伺えなかった。その代わり、何処か先輩の頬は赤く染まっていて、切羽詰っているように眉間に皺を寄せている。
「……?」
先輩からの返事はない。
俺はこのまま止めてしまおうかと一瞬思ったのだが、やはり後には引けず、返事を返してくれない先輩の熱くて大きいペニスを何とか寄せて出来た、ほんの少しの胸の谷間に挟んだ。
prev /
next