短編集 | ナノ

 8-3





「あ、あの」

「何だ?」

「その、ちなみになんですけど…、」

「……ん?」

「お、俺のどういう事を、その…、お、思い出してくれてるんですか?」

「………」


今日は東堂先輩に質問ばっかりぶつけているような気がする。大丈夫かな?変な風に思われないかな?うざいとか思われてないかな?凄く不安だ。
わざわざ答えなくてはいけない東堂先輩には申し訳ないけれど、だけどどうしても聞いてみたいと思ってしまうんだ。ああ、何て我侭で面倒臭いんだ俺は…。



「………」

「せ、んぱい?」


うう、どうしよう。
先輩考え込んだまま、全然反応してくれないよ…。やっぱり聞かない方が良かったかな。あまりに質問をぶつけるから、気分を害してしまったのかもしれない。



「あ、あの、せ、先輩っ。その、嫌なら無理に答えてもらわなくても、大丈夫なんで…」

「………」

「東堂、先輩?」


沈黙が辛くて付け加えるようにそう言えば、先輩は俯いていた視線を上げて、俺の方を見てくる。



「…あ、の?」

「もも、」

「…は、はい」


そして東堂先輩は何とも格好良くて、…それでいて悪どく、口角を上げてニヤリと笑みと、俺を見てこう言ってきた。



「…本当に、聞きてぇか?」

「………っ、」


な、何これ。え?一体東堂先輩どうしたの?
怒ってるんじゃないの?な、何でこんなに楽しそうに笑ってるの?!



「え、えっ…、いや、あの、その…、」

「聞きたいなら教えてやるよ。」


全部、な。



「…ひ…ぅ?!」


耳元で低く、そして甘く優しい声で囁かれる。
そのあまりにもエロい東堂先輩の声に、ゾクゾクっと身体が震え、おもわず腰が砕けそうになてしまった。



「俺の脳内で、ももがどんな事になっているか聞きたいか?」

「…い、いえ、遠慮しときますっ」

「遠慮すんなよ。ももが聞きたいって言い出しただろ」

「いや、その…、俺が聞きたかったのは、その、そういう意味ではないので…っ」


くくくと喉で笑いながら、言葉で俺を追い詰めてくる東堂先輩。ひ、酷い。先輩、凄く意地悪だ…っ。



「まぁ、18禁な内容になるけどな」

「お、俺、18歳未満なんで…っ」


本当に大丈夫です、間に合っていますっ。とセールスを断るかのように東堂先輩の話の続きを断るれば、東堂先輩は更に楽しそうに笑う。



「それなら、R15で話せる分だけ話すとするか」

「…うわ、わ、…」


今日の東堂先輩はいつもの数十倍意地悪だ。
やっぱりあれかな。俺があまりにも質問攻めしたから怒ってるのかな…。

というかR18とR15の違いって何だろう。
そんなに違いってあるものかな。俺にはよく分からない。


「…違い?」

「え、いや、今のは違うくて…っ」


どうやらその疑問が思わず口に出てしまっていたようだ。東堂先輩は一瞬真顔になった後、再び笑い出した。


「いや、その、今のは聞かなかったことにしてください!」

「やっぱり興味あるか?」

「あの、興味というか、なんというか…」

「…どうした?」

「その、パイズリというのはどっちの指定に入るのかな、とかちょっと思っちゃったりしただけで…」

「…あ゛?」

「え?……あ、」


動揺してしまった挙句、口に出してはいけない単語を思わず口に出してしまった。東堂先輩は眉間に皺を寄せて、難しい顔をしている。
うう、本当馬鹿。俺って馬鹿!
どうしよう。上手くごまかさないと…。




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