▼ 8-3
「あ、あの」
「何だ?」
「その、ちなみになんですけど…、」
「……ん?」
「お、俺のどういう事を、その…、お、思い出してくれてるんですか?」
「………」
今日は東堂先輩に質問ばっかりぶつけているような気がする。大丈夫かな?変な風に思われないかな?うざいとか思われてないかな?凄く不安だ。
わざわざ答えなくてはいけない東堂先輩には申し訳ないけれど、だけどどうしても聞いてみたいと思ってしまうんだ。ああ、何て我侭で面倒臭いんだ俺は…。
「………」
「せ、んぱい?」
うう、どうしよう。
先輩考え込んだまま、全然反応してくれないよ…。やっぱり聞かない方が良かったかな。あまりに質問をぶつけるから、気分を害してしまったのかもしれない。
「あ、あの、せ、先輩っ。その、嫌なら無理に答えてもらわなくても、大丈夫なんで…」
「………」
「東堂、先輩?」
沈黙が辛くて付け加えるようにそう言えば、先輩は俯いていた視線を上げて、俺の方を見てくる。
「…あ、の?」
「もも、」
「…は、はい」
そして東堂先輩は何とも格好良くて、…それでいて悪どく、口角を上げてニヤリと笑みと、俺を見てこう言ってきた。
「…本当に、聞きてぇか?」
「………っ、」
な、何これ。え?一体東堂先輩どうしたの?
怒ってるんじゃないの?な、何でこんなに楽しそうに笑ってるの?!
「え、えっ…、いや、あの、その…、」
「聞きたいなら教えてやるよ。」
全部、な。
「…ひ…ぅ?!」
耳元で低く、そして甘く優しい声で囁かれる。
そのあまりにもエロい東堂先輩の声に、ゾクゾクっと身体が震え、おもわず腰が砕けそうになてしまった。
「俺の脳内で、ももがどんな事になっているか聞きたいか?」
「…い、いえ、遠慮しときますっ」
「遠慮すんなよ。ももが聞きたいって言い出しただろ」
「いや、その…、俺が聞きたかったのは、その、そういう意味ではないので…っ」
くくくと喉で笑いながら、言葉で俺を追い詰めてくる東堂先輩。ひ、酷い。先輩、凄く意地悪だ…っ。
「まぁ、18禁な内容になるけどな」
「お、俺、18歳未満なんで…っ」
本当に大丈夫です、間に合っていますっ。とセールスを断るかのように東堂先輩の話の続きを断るれば、東堂先輩は更に楽しそうに笑う。
「それなら、R15で話せる分だけ話すとするか」
「…うわ、わ、…」
今日の東堂先輩はいつもの数十倍意地悪だ。
やっぱりあれかな。俺があまりにも質問攻めしたから怒ってるのかな…。
というかR18とR15の違いって何だろう。
そんなに違いってあるものかな。俺にはよく分からない。
「…違い?」
「え、いや、今のは違うくて…っ」
どうやらその疑問が思わず口に出てしまっていたようだ。東堂先輩は一瞬真顔になった後、再び笑い出した。
「いや、その、今のは聞かなかったことにしてください!」
「やっぱり興味あるか?」
「あの、興味というか、なんというか…」
「…どうした?」
「その、パイズリというのはどっちの指定に入るのかな、とかちょっと思っちゃったりしただけで…」
「…あ゛?」
「え?……あ、」
動揺してしまった挙句、口に出してはいけない単語を思わず口に出してしまった。東堂先輩は眉間に皺を寄せて、難しい顔をしている。
うう、本当馬鹿。俺って馬鹿!
どうしよう。上手くごまかさないと…。
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