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クラスメイトとふとそういう話になった。
男と女についての話だ。俺が付き合っているのは東堂先輩であって、女の子ではないのだけれど、今後のために友達の意見を参考にしようと俺も話しに加わっている。
といっても、話にはあまりついていけず、聞くだけになっているのだが…。
そこで俺は友達が言った台詞にドキッとした。
「それって、本当?」
「あ?ああ、柊だってそうだろ?」
「………俺は…、」
「普通に考えて、誘いを断る女とは長続きしねぇな」
「…………」
そう。
セックスを断る女とは長続きしないという話になったのだ。友達のその言葉に他の人たちもうんうんと頷いている。
「そ、そんなもんなの…?」
「皆そうだって。俺達ヤりたい盛りの時期だぜ?」
「仲良しこよし手を繋ぐだけで満足出来るわけねぇよ。」
「……そんな…」
それだったら東堂先輩もそういう考えの一人なのだろうか。俺は東堂先輩と一緒に居られる今に大満足している。…もしかするとそれは俺一人のエゴであって、東堂先輩は全然満足していないのかもしれない。
「………」
キスはした。
…む、胸も触られた。
だけど東堂先輩は俺ともっと先に進みたいと思っているのかな?
「じゃ、じゃぁさ、どういう事をすれば満足するの?」
「ぶはっ。柊、お前も男だろ?それくらい自分でも分かるだろうが。」
「まじでウケる」
「……あ、う」
俺の素っ頓狂な台詞に、周りの人たちも笑い始めた。
そ、そうか。東堂先輩が相手だったから思わずそっちの方の立場で考えてしまったが、俺も立派な男だ。
東堂先輩と何をしたいのか考えれば、すぐに分かるはず、……いや、どうしよう。何も思いつかない。
「柊はそういうのに疎そうだもんな」
「……疎いというか、何というか」
「どっちかというと女にリードされてそうだ」
「………」
相手は女の人ではなく東堂先輩だけど、友達の言う通りだ。全てリードしてもらっている。
「お前も巨乳の女にパイズリくらいしてもらいてぇだろ?」
「ぱ、…ぱい…?」
「…もしかしてそんな事も知らねぇの?」
「え?あ、うん。…ごめん、知らないや。…俺、おかしいかな?」
パイズリ?
聞いたことない。何だろう。食べ物?
すると再び俺の言葉に友達は笑い出した。
「な、何で笑うの?!」
「はははっ。お前本当に男かよ」
「チンコ付いてるか?」
「ばっ、馬鹿!…つ、付いてるよっ」
男にあるはずのない胸も付いているけど…。
「パイズリってのはな、胸の谷間にチンコを挟んで擦ることだよ。」
「……な?!」
「お、想像したか?顔真っ赤にして、可愛いなお前。」
「煩い、馬鹿にするな…っ」
ああ、駄目だ。
これ以上話に加わってると、また馬鹿にされてしまいそうだ。未だに笑う友達たちを無視して、俺は赤くなってしまった頬を冷やすために、教室から飛び出した。
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