短編集 | ナノ

 7



●ももside




「あ、…あの…!」

「…何だよ?」

「えっと、…な、何でしょうかこの状況は…?」

「…何って、詳しく聞きてぇか?」



東堂先輩から昨日告白された。
…自分でも気付かない内に俺も東堂先輩に惹かれていたようだ。自分よりも数万倍も格好いい男の人から告白されたというのに全然嫌ではなかった。

むしろ、凄く嬉しかった。


…だけど、だけど!
一体この状況は何なんだろう?
いや、説明されなくても俺だって健全な高校生男子だ。分かるけど、分かるけども…っ。



「…と、うどう先輩…、」

「押し倒してるんだ。」

「……っ」

「ももが俺を煽るのが、悪い。」

「…俺、別にそんな…、」

「……好きな奴のそんな姿見せられて、我慢出来る男が居るとでも…?」

「…で、でもでもっ」


東堂先輩の言った「そんな姿」というのは、多分シャツの前が開いているこの状態のことを言っているのだろう。で、でも今までは東堂先輩何も反応しなかったじゃないか。
俺のこの胸を見ても侮蔑しない先輩に、俺は心の底から安心していたというのに。



「やっぱり変ですか、…この胸?」

「……はぁ」

「……?」


恐る恐る訊ねれば、何故か呆れたような溜息を吐かれた後、くしゃりと優しく頭を撫でられた。




「…本当に、鈍い…」

「……ご、ごめんなさい…?」

「よく分かってねぇのに、謝られてもな…」

「……ぁ、ぅ…」


もうどうしたらいいのか分からない。俺の行動や発言は全部裏目に出ているような気がする。
とりあえず全ての原因である自分の胸をシャツで隠そうとすれば、……上に跨っている東堂先輩に止められた。


「…あ、あの…」

「駄目。」

「……?」

「見せろ。」

「……ぁ」

「……俺の手の平に簡単に納まりそうだな。肌も白くて柔らかそう。それに先端の桃色がすげぇ可愛い。」



押し倒された状態で、至近距離でコンプレックスである胸をまじまじと見られて感想を述べられる。本当にこの状況は何なんだろうか。凄く恥ずかしい…。



「……触っても、いいか?」

「…え?」


そして俺は東堂先輩に更に恥ずかしい事を言われたのだった。





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