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「…えっと、授業行かなくちゃ。」



キンコーンカンコーン、と五限目がもうすぐ始まることを知らせてくれる予鈴が鳴り、仁湖は慌てる。



……あーあ、お昼ご飯食べそこなった。

自分の弁当を食べ終わる前に、高瀬の昼飯を買いに行った途中でこんな目に遭ってしまった仁湖。
食べそこなったと考えれば考えるほど、空腹を感じてしまう。




「高瀬は、…授業出る?」




「…出ねぇ。」




「……そっか。もう帰るのか?」





「あぁ。……お前もな。」



ニヤっと笑いながら、自分の手を引っ張ってくる高瀬に、仁湖は焦る。





「へ?…な、何で俺も?!」




「終身刑。…俺に罪を償ってくれるんじゃねぇのか?」





「…うー……」




そう言われれば、仁湖はもう何も言い返せない。
今回の件だって、自分の我侭の所為で引き起こしてしまったことだと思っている仁湖は。





「わ、分かったよ。」



「…いい子だ。」



渋々ながらも授業をサボって、自分と付き合ってくれると承諾した仁湖に、高瀬はよしよしと頭を撫でる。





「ば、馬鹿にしてるのか…?…俺は子供じゃないぞ!」




「違ったのか?…さっきは子供のように泣いてたくせに。」




「ち、…違っ、…違うし。泣いてねぇし。」



幼子のようにわんわんと泣いてしまったことを恥じて後悔している仁湖は、高瀬に言われて顔を真っ赤にして否定する。




「……可愛かったな、さっきの仁湖。」




「ば、馬鹿!忘れろ、今すぐ忘れろ!」




「忘れられねぇよ。…あの表情は今日の夜の……、」



…とそこで高瀬は言葉を止める。





「な、…何?今日の夜?」





「いや、…何でもねぇ。」



おもわず仁湖の前で、“今日の夜のおかず”と言ってしまいそうになった高瀬。






「…とりあえず、行こうぜ。」




「何処に?」





「俺の家。」





「え…?」



その言葉を聞いて、仁湖はキョトンとする。





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