「……お前…、」
高瀬はそこで言葉を止めると、ゴクリと喉を鳴らした。
「…やっぱり、…駄目?」
高瀬と寝るのは凄く恥ずかしかったし、あのときはもう嫌だと思っていたけれど、……今思い出すと凄く心地よかった。
高瀬の温もりや、俺の背中に回した腕の力とか、匂いとか、…全て気持ちよかった。
…高瀬が嫌というなら、無理強いはできないけど、出来ればまた一緒にお昼寝がしたい。
だけど、高瀬はさっきから俺のことを見ているだけで何も言葉を発しない。
しかも高瀬の視線は、どことなく熱っぽい。
…俺の気のせいだろうか?
「………俺は、男だぜ。いいのかよ…?」
あ、…なんか今のちょっと傷つく。
何処となく一線を引いた感じの言い方。
……何だろう。わざと俺を遠ざけてるのか?
「何、それなら女の子を誘えばいいわけ?」
少しムカッとした俺は、そう高瀬に言い返す。
…言い返すだけで、実行なんかしないけど。
俺と一緒に寝る女の子なんてこの世に居ないだろうし、…それに想像するだけで恥ずかしい。
「それは駄目だ。絶対駄目。」
「……じゃぁ、…何で…、」
「……きっともう我慢出来ねぇからだよ。」
我慢?
何を?
この前俺と一緒に寝たときは、何か我慢してたのか?
「…がまん?」
「はぁー……。お前、その鈍感さは本当に罪だぜ?」
「罪?何それ?そんなわけないじゃんか。…それはどんな罪になるんだ?」
「終身刑。」
「えぇっ?!重たい、重犯罪じゃんか、それ?!」
高瀬から出た言葉に俺は驚く。
てっきり冗談か、罰金一万円くらいかと思ってたら、
…ま、まさかの“終身刑”……。
「そう。…だからお前は、一生その罪を俺の元で償えよな。」
「…た、…高瀬の元で?」
「あぁ。」
「い、…一生?」
「あぁ。」
先ほどの話は上手くはぐらかされたし、高瀬の言っていることの半分以上は理解出来なかったけど、高瀬があまりにも嬉しそうに顔を綻ばして笑うものだから、俺も笑っておいた。
……まぁ、高瀬の元ならそこまで嫌じゃないし…。
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