「嫌だ、…やめっ」



ジタバタと暴れて抵抗するものの、男はびくともしない。
それどころか抵抗する俺を、楽しそうに押さえつけてきた。





「恨むなら高瀬を恨みな。」



そう言って男は、再び腕を振りかざす。









…やだ。
怖い。
嫌だ。
殴られたくない。



………でも、高瀬はこれ以上に俺の態度に傷ついたかな？
もしかしたらこれは罰なのかもしれない。
そうだ、…きっと酷いことをした俺への罰だ。




……謝りたい、高瀬に。
きっと許してはくれないだろうけど、顔をみてちゃんと謝りたい。


もう一度高瀬とメールをしたい。もう一度高瀬と話したい。もう一度高瀬とご飯を食べたい。




…もう一度、




高瀬と一緒に居たい…。










「……高瀬、…ごめんなさい！」




目を閉じると高瀬との思い出と、昨日の高瀬の悲しげな表情が目に浮かび、俺はおもわず大きな声で高瀬の名前を呼びながら謝罪の言葉を放っていた。











「…………遅い。」













「……え？」




…聞き間違い？
今一番聞きたかった人の声が近くで聞こえ、俺は驚きで目を開ける。







バキッ！







……それと同時に俺の胸倉を掴んでいた目の前の男が吹っ飛ぶのが、スローモーションで見えた。









「……た、……高瀬、何で……？」





「……………」





…そう。
目の前には俺が今求めていた高瀬が居た。






「…ちょっと退いてろ。」




高瀬はそう言うと、もう一人居た男を蹴り飛ばす。