一限目…
二限目…
三限目…
四限目…
どれだけ時間が経っても、高瀬は教室に現れることはなかった。
弁当の箱を開けて箸で唐揚げを摘んで口に運ぶ。
…あまり味がしない。
美味しいと思わない。
いつもと同じ味付けなのに、味が分からない。
…この唐揚げ、……高瀬食べてくれたよな…。
「……もう、やだ…」
全てに逃げ出したい。
何でこんなに辛いんだろう…。
近くに居ないほうが楽だと思っていたのに、
…たった一日顔を合わせてないだけで、こんなに苦しくて学校が楽しくないなんて…。
「…一応高瀬の昼飯、買いに行こうかな……。」
もしかしたら来てくれるかもしれないという、少しの希望を持って、俺は高瀬の昼飯を買いに行くため席を立った。
「……おいお前、中村仁湖か?」
「え?」
そして廊下を歩いていると自分の名前を呼ばれて俺が立ち止まる。
「ついて来い。」
いかにも恐そうな二人組みの男にそう言われて、俺は逆らえるはずもなく大人しく男たちに従ってついて行った。
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