「………ん……」
ピピピピピッとけたたましく鳴る目覚まし時計で目が覚め、重たい瞼を開ける。
「…ふぁぁ………」
上半身を起こして、背伸びをしながら欠伸をする。
そして五月蝿い目覚まし時計を止める。
その後、顔を洗って弁当作りを始める。
それがいつもの俺の日課。
……だけど、今日はちょっと違うみたいだ。
新着メールが来ていることを、イルミネーションで知らせてくれる俺の携帯。
「………ん?」
そういえば、高瀬にアドレス消されたんだっけ?
………誰だろう?
パカっと折りたたみ式の携帯を開き、差出人の名前を見る。
こりゃ、また驚いた。
差出人は、俺の親以外のアドレスを全部消した張本人、
高瀬葵君じゃないか…。
ま、まさか本当にメールをくれるとは思ってもいなかった。
メルアドを訊いたのは、社交辞令かなにかだと思っていたから…。
……べ、別に嬉しいとか思ってねぇからなっ。
あ、あいつは俺のアドレスを消した、悪の大王なんだから。
「…ん?……あいつ何時に起きてるんだ?」
俺がそう思うのは当たり前。
高瀬からメールが来たのは、早朝4時なんだから…。
いくら何でも早すぎるだろ…。
もしかして寝てないのかな?
あ、…い、今のも違うぞ。
別にあいつの身体を心配してるとかじゃなくて、ただ単に気になっただけだ。
あ、い、いや気になってもないぞ。
今の時刻は5時。
一時間前くらいにメールが来たのか…。
な、内容はなんだろう?
もしかして、「腹減ったから何か家まで持って来い。」とかだったらどうしよう?
それだったら、シカト決定だな。
…いや、シカトなんか出来ないけどね、恐くて…。
と、とりあえず開いてみるか。
…ゴクリ。
緊張のあまり喉が鳴る。
…そして開いたメールは本当にシンプルなものだった。
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