「……………」
「……………」
「あ、…ここが俺の家。」
結局高瀬は俺の家に着くまで手を離してくれなかった。
家に辿り着くまでに、どれくらいの人に見られたことか……。
どうか知り合いには見られてませんように。
「あ、…あの送ってくれてありがとう。」
「…………あぁ。」
…結局高瀬の家はどこだったんだろう?
ま、まさか真逆とか言わないよな…?
それだったら、凄く申し訳ない。
「……えっと、じゃぁばいばい。」
「…………待て。」
「え…?な、何?」
「…携帯、
貸せ。」
「え…、何で?」
「……いいから、貸せよ。」
早く渡さなかった所為か、高瀬は苛立ち始めたのか、鋭い目が更に鋭くなった。
だから俺は慌てて、高瀬に携帯を渡す。
な、何するんだろう?
頼むから、壊すなよ…。
結構気に入ってるんだからな、その携帯…。
高瀬は俺の携帯を慣れた手付きで操作する。
………あ、赤外線でメアド交換してるのか。
な、何かちょっと嬉しいかも。
高瀬のメルアドを教えてもらえるってことは、別に嫌われているわけじゃないってことだろ?
……まぁ、プラスに考えればだけど…。
しかしえらく長く掛かるなぁ。
ただ赤外線でデータ送るだけだろ?
「…………ん。…これ、俺の番号とアドレス。」
「あ、…ありがとう。」
「……何か、あったら連絡しろ。
……まぁ、何もなくても、お前なら連絡してもいいけど……。」
「…………え?」
「……………また、明日な。」
高瀬はそう言うと、俺の頭をまたクシャクシャって撫でてきた。
そして高瀬は歩いてきた道を、戻っていったのだった。
「…………あんまり嫌な奴じゃないんだな。」
優しい所あるじゃんか。
ちょっと高瀬のこと好きになったかも…。
「………って、親以外のアドレスがなくなってるじゃねぇか?!」
数時間後、俺は携帯に登録していた友達のアドレスがなくなっていることに気がついた。
あんにゃろう、消しやがったなっ…。
嫌がらせかよ…!
前言撤回!
やっぱりあいつは嫌なやつ!
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