それからあっという間に約束していた放課後になった。今、教室には俺と高瀬の二人しか居ない。
…だけど、こいつ本当に勉強教えてくれるのだろうか?
俺はとりあえず、英語の教科書を出す。
「……英語、…するのか?」
「あ、うん。……どういうのが明日のテストに出ると思う?」
「…………そうだな。」
そう言うと、高瀬は俺の教科書をパラパラと捲る。
おっ、ちゃんとこいつ教えてくれるんだな。
「like………」
「…え?」
な、何だ、いきなり…。
「…今の意味は?」
「え?…あ、…えっと、“好き”?」
「…favorite」
全部意味を言えってことなのか?
…しかしこいつ発音いいな。
ちょ、ちょっと格好いいとか思っちゃったじゃん…っ。
「えーっと、…“お気に入り”とか“好き”。」
「……love…」
「…“愛してる”、“好き”。」
「…I love you……」
「わ、私は貴方のことを愛しています。」
「………あぁ、正解だ。お前は今のだけ覚えておけばいい。」
そう言うと、高瀬は俺の頭をクシャクシャと撫でてくれる。
えっと……、
これだけでいいのか?
全部「好き」って言わせただけじゃん…。
こんなんで、明日のテスト大丈夫なのか?
「えっと、じゃぁ、…今ので英語は終わり?」
「…あぁ。他は覚えなくていい。」
ま、まじかよ。
こんなんじゃ、明日のテスト赤点だよ…。
ま、まぁ家で復習すればいいか。
「…えっと、数学教えてくれないか?」
「………あぁ。」
それから俺は、1時間くらい高瀬に色々と教えてもらった。
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