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「じゃぁ、はい。」



俺は唐揚げを箸で掴み、高瀬の口元に持っていく。






「……………」


しかし高瀬は少し驚いた顔をするだけで、一向に食べようとはしない。





あれ?
唐揚げ食べたかったんじゃなかったのか?
何で食べないんだ…?






「……食べないのか?」



そう言って、俺は気付く。





…今俺、高瀬に“アーン”ってしてる…っ。

や、やべっ!
俺は別に気にしないけど、普通はこんなことしないよな。
女の子からならまだしも、平凡野郎からアーンとかしてもらっても、嫌なだけだよな…。



俺は恥ずかしくて堪らなくて、顔を真っ赤にしながら高瀬の口元に近づけた唐揚げを戻そうとする。







……だが、戻そうとした腕をガシっと高瀬に掴まれる。








「…………え…」







パクっ








……あ、食べた。
高瀬はモグモグと唐揚げを食べている。


俺がアーンってしたやつを食べやがった…。






す、凄い恥ずかしいんだけど……。
これは俺だけなのか?

俺は恥ずかしさを紛らわすように、高瀬に訊く。







「……お、美味しい?」







「………あぁ、…美味い。」







あ。
…気のせいかもしれないけど、





高瀬の頬もちょっと赤いかも……。







それを見て、俺は更に顔を真っ赤に染める。









「……あ…、えっと、…他も食べる?」







「…………あぁ。」








「じゃぁ、はい。」





俺は高瀬に箸と弁当箱を差し出す。


すると高瀬はギロリと俺を睨んだ後、









また俺の椅子を蹴ってきました…。








な、なんだよ。
親切心で弁当分けてやったのにー!





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