「……はい。」





俺は食堂で買ってきたパンが入っている袋を高瀬に手渡す。
すると高瀬はコクンと頷いた後、受け取った。





…今度から前もって食券でも買いに行くか。
やっぱりパンだけなんて、身体に悪いから。





そう考えながら、俺は自分の席に着いて鞄から弁当を取り出し、机の上に置く。

そしてチラっと高瀬の方を見る。








「……………」





ぶふーっ！
固まってるっ。高瀬が固まってるよッ！


そりゃそうだ。
俺が選んだパンは、メロンパン、チョココロネ、ぶどうパン、いちごホイップメロンパン、ラスク、



…と全部甘い物を選んだ。


ぶふー。
ざまぁみろ。
これは俺からの可愛い嫌がらせだ。







ましゅまろなんて可愛い言葉使うくらいなら、その甘いパンだって食べれるだろ。





俺は心の中で笑いながら、作ってきた唐揚げをひとかじりする。








「…………これ、やる。」




そして高瀬は俺をギロリと睨んだ後、俺にパンが入った袋を渡してきた。







「…え、いらないの？」




くくくっ、本当に甘い物嫌いなんだ。
すげぇー、ウケる。








「……やるから、その弁当よこせ。」







「…………え？」






ま、まじで？
まさかそう来るとは思っていなかったぞ…。
まぁ、俺は甘い物そこまで嫌いじゃないからいいけど。



ちぇっ。高瀬があのメロンパンとかに噛り付いているとこ見たかったのに…。






「…じゃぁ、はい。」




俺は高瀬に弁当を渡そうとしたのだが、高瀬は首を横に振る。







「え？いらないの？」







「………その唐揚げだけでいい。」





あぁ、“弁当をよこせ”っていうのは、全部よこせっていう意味じゃなくて、少し頂戴って意味だったんだ。


…分かりにくい奴だなぁ。







「えっと、…この唐揚げ俺がちょっと齧っちゃったからさ、他のは？ウィンナーでもいい？」





「………いや、その齧った唐揚げが食べたい。」






え？俺の食べかけでいいのか？
そんなに唐揚げが好きなのか。

…今度大目に作ってきてやるか。