「……わ、分かったよ。」
きっとどう足掻いたって、これは断れないんだ。
だから俺は高瀬に手渡された一万円をクシャっと握る。
約20回だ。
20日間くらい我慢すればいいだけなんだ。
「………じゃ、じゃぁ買ってくる。」
俺はとりあえず早くこの“一万円”という金額を減らしたくて、早速一回目の昼飯を買いに行こうとする。
……だが、
ガシッと腕を掴まれて、前には進めなかった。
「な、…何?」
「…………覚えとけ。
…その金がなくなった頃には、必ずお前は俺のものになっている。
……お前は俺から離れられないようになっているはずだ。」
高瀬はそれだけ言うと、掴んでいた腕を離してくれた。
………は?
何?
今、高瀬は何て言った?
“俺が高瀬のもの”?
“離れられない”?
い、意味が分からない。
何、それ?
どういう意味?
このお金がなくなったときには、俺が自分の意思で高瀬の側に居るようになっているってことか?
高瀬に命令されたからじゃなく、自分の意思で?
そ、そんなわけない。
絶対ない。
…そんなことあるはずがない。
……俺はそう思いながら、高瀬から掴まれた場所が熱くて堪らなくて、その熱を水道水で流した……。
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