…一万円。









「…………俺と関わるの嫌か?」







「………えっと……」






それはどういう意味だろう?



“関わるのは嫌か?”


まぁ、素直な気持ちで言えば答えは「YES」だ。
誰だってくりょうのトップと関わるのは嫌だろう。






俺が返答に困っていることが高瀬には分かったのか、すこし悲しそうに顔を歪める。







……う……っ、そんな顔されたら凄く自分が嫌な奴みたいだ。




だ、だけど、…ここで引き下がると一生パシリのままになってしまう。











「………分かった。」







「え、…じゃぁっ…、」








「……だが、…条件がある。」







「じょ、条件?」





俺が首を横に傾げると、高瀬は自分の財布から紙幣を取り出した。







それは、俺があまり手にしたことのない、「福澤諭吉」が描かれた高価な紙幣。









「…い、一万円?」






そう、一万円だ。
俺は高瀬から一万円を差し出された。



な、何で?!


何で俺に差し出してくるんだ?!









「………この金がなくなるまででいい。」








「そ、それって……」







いわゆる、





“期限付きのパシリ”





っていう意味?!










「……その金がなくなるまでだ。」







一万円…。
俺にとっては凄い大金だ。
滅多に手にすることはない。





こ、これは頷かなくちゃいけないのかな?



一万円だとしたら、例えば一日五百円使ったとしたら、






『20回』。






20回、高瀬に昼飯を買ってくればいいのか。





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