手渡されたものは、









それから何事もなく授業は終わって、お昼休みとなった。





……いや、椅子を二回蹴られてしまったので、“何事もなかった”ではないか…。








…ちょっと悩むんだが、昨日は高瀬から「飯、買って来い」と言われた。



…ということは、今日も買って来なくてはいけないのだろうか?





チラリと隣の席を見てみるが、やはり高瀬は何も持ってきていないようで、机の上には何も置いていない。



…ふぅー、やっぱり買いに行かなくちゃ駄目かな…。




まぁ、「何で買いに行かねぇんだよ。あ゛ァ?!」とか言われるより、自分から買いに行ったほうがいいよな?




…けど嫌だなぁ。
今日は高瀬から言われていないものの、やっぱり早い内に“こういうのは嫌だ”と言っておかないと一年間、高瀬のパシリになりそう。




今の内に言っておこうかな…。
パシリになるくらいだったら、まだ高瀬の分のお弁当を作ってくるほうがマシだ。








まぁ、とりあえず買いに行こう。







俺はガタンと椅子から立ち上がる。
すると、昨日通り高瀬から声が掛かる。








「……何処に行く?」







「えっと、……高瀬、お弁当持ってきてないんだろ?」







「………あぁ」








「俺、買いに行ってくるよ。」








「………………」








「……あ、あのさ、買いに行くから、今回まででいい?…もうこういうのしたくないんだ……」





言えたっ。
言えたぞ、俺。
よくやった。



この調子で、「出来ればこの机も離して、この関係も終わりたい」と言えればいいんだけど、やはりそれまで言える勇気がない。




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