「…え?!いいの?」
「……あぁ。」
嘘っ?!
嬉しいっ。
…まぁ、高瀬と二人きりで勉強するっていうのは、ちょっと気まずいけど、勉強を教えてもらえるっていうのは、凄く嬉しい。
それに高瀬の教え方は、見掛けによらず丁寧で分かりやすい。
俺が分からなければ、分かるまで教えてくれるし…。
…で、でもいいのかな?
二人で教え合って、勉強をするならまだしも、俺だけのために高瀬の時間を取るのは凄く悪いことだと思う。
「……ご、ごめん。嬉しいけど、…やっぱり遠慮しておくよ。」
「…………何で?」
…うわっ。
恐いっ。
そんなに怒らなくたって、いいじゃんか…。
「だってさ、…悪いだろ?俺、高瀬に勉強教えられないし…。」
「…馬鹿、別にいいんだよ。
……元々勉強なんて、口実だし…」
「は?…口実?」
何だ、口実って?
何の?
高瀬の言っていることが分からなくて、俺は混乱する。
すると高瀬は俺が酷く混乱していることが分かったのか、ふっ…と優しく笑んで、また俺の頭を撫でてくれた。
「……だから、お前はNOとは言わず、大人しく俺と一緒に放課後を過ごせばいいってことだ。」
「…え、……あ、うん。」
俺は高瀬の言っていることが理解出来なかったが、珍しく長く喋った高瀬に驚きながらも、大人しく頷いた。
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