何より貴方を、「   」。







頬に添えられた高瀬の温かい手。
俺はその手を握り、自分から頬擦りをした。


「俺さ、最近将来の事ばかり考えてるんだよ」

「……」

「仕事の事とかだけじゃなく、もちろん高瀬の事も」

「仁湖…」

「お互いの学校や仕事場に近い所に部屋を借りて一緒に暮らしたいなーとか。もしくは、高瀬が了承してくれたら、このまま高瀬の家で一緒に暮らしたいなーとか図々しくも考えてた。」

「一緒に、暮らす…」

「いや、高瀬が俺なんかで良ければの話だよ!無理強いはしないよ。プライベートの時間だって欲しいだろうし」


これは本当の話。
一人で先走って色々妄想してた。
こういうのを高瀬に話すのは凄く恥ずかしいけど、俺の考えや気持ちが高瀬に伝わればいいなぁと思ったから勇気を出して話してみた。

もうここまで話したんだ。勢いで俺の考えてたことを全部話してやる。



「大学や専門学校に行くとしても、高校卒業してすぐに働くとしても、やっぱり今まで通りにずっと一緒は居られないだろ?」

「ああ」

「だからさ、俺はない頭なりに考えたんだよ!」

「何をだ?」

「如何に高瀬と長い時間居られるかを。」



グッと拳を作り力説をしていると、急に高瀬がキスを仕掛けてきた。



「…な、?!…ッ、んは…ぁ」


触れるだけの優しいキスではなく、全てを奪われそうな激しいキス。急な出来事に口内に忍び込んできた高瀬の舌を噛んでしまった。結構な力で噛んでしまったと思うのに、高瀬は舌を抜かない。それどころか、更に俺の舌と絡めてくる。


「ふ、…っ、ん…ぅ」


当然息苦しくなってくるわけで。縋る様に目の前に居る高瀬のシャツを握り締めれば、まるでそれに応えるかのように上顎を舐められた。


「ぅァ、ぁ…ッ、っ」


あまりの気持ち良さに身体が震える。口端から飲み込めなくなった唾液が零れた。一体それはどちらのものなのか。

意識が朦朧としてきた中考えていると、銀色の唾液の糸を伝わせて高瀬が離れた。


「ふ、ぁ…はぁ、はっ」


そして俺は必死に息を吸う。
だって今までしてきた口付けの中で一番濃厚で激しいものだったから。意識を失いそうになったのだってこれが初めてだ。


「仁湖」

「…は、ぁ、…な、何?」

「抱きたい」

「…は?……、え?」

「極力優しくする。

だから、」


……抱かせろ。



一際男臭い低い声が耳元で聞こえたのと同時に、俺は押し倒された。





291/300
<< bkm >>
MAIN TOP
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -