それからヒシヒシと怒りのオーラを浴びつつ、一限目の授業を終えた。
そして10分休みになると、高瀬は席を立ち、教室から出て行った。
「……ふぅー…」
つ、疲れた。
恐かった。
死ぬかと思った。
……結局高瀬は何がしたかったんだ?
“教科書忘れたから見せろ”って言ったくせに、別に教科書を見るわけでもなく、俺の顔や俺が書いているノートをジッと見ていた。
もう、本当に分からない。
……というか、今の内に机を離しとこう。
高瀬が居るときに、自分から机を離すのは、…なんかちょっと恐いから。
だから今の内に、机を離す。
「……はぁー」
このまま高瀬が帰って来ないと凄い楽なんだけど。
……だが、現実はそう甘くない。
高瀬は授業が始まる2分前に教室に帰ってきた。
……不良って、もっと授業をサボるものだと思っていたのだが、そうではないらしい。
その証拠に高瀬だけでなく、不良のクラスメイト達もゾクゾクと教室に入ってきた。
……ふむ、よく分からん。
「……ん?」
高瀬は自分の席の近くにまで来ると、座らずにジッと机を見ている。
ん?何だ?
俺は不思議に思い、高瀬を見上げる。
「………っ…」
み、…見なきゃよかった…っ。
何て恐い顔をしているんだ、高瀬は…。
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