高瀬は俺に振り払われたのがむかついたのか、ジロリと睨んできた。
……ふ、ふん。
知るか。
俺だってむかついてるんだからな。
…俺はそのとき高瀬がくりょうのトップということを、怒りで忘れていたのかもしれない…。
だからこんな行動が出来たのだと思う。
……だが、それはすぐに思いださずにはいられなかった。
ガンッ!
「……う、…わっ?!」
椅子を隣から力強く蹴られ、俺は倒れそうになる身体を必死に耐える。
「………っぅ?!」
け、蹴られた?!
こ、恐ぇぇー。
何だよ、こいつ。
まじ、恐いんですけど?!
俺は涙目になりながら、チラリと高瀬の様子を伺う。
「………勝手に離すんじゃねぇよ。」
低く恐ろしい声でそう言われ、俺は反射的に「…は、はい」と答えた。
…で、でも助かった。
蹴られたのが椅子でよかった。
今の力で足とか蹴られてたら、きっと腫れ上がっていたことだろう……。
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