「……えーっと…」
「……………」
本当に、こいつ何だよ?
何考えてるか全然分からない。
声にも顔にも出さないから、よく分からないんだけど。
「………柔らけぇ手…」
高瀬はそう言うと、俺の手の感触を確かめるようにフニフニ…と優しく握ってきた。
は、はぁ?!
“柔らかい”?!
何、考えてるんだ?
柔らかいわけねぇだろうが。
阿呆か、こいつ…。
「…………ましゅまろみてぇだ…」
ちょ、ちょっとー!
誰か通訳さん呼んできてー!!
俺じゃ手に負えないよ。
何言っているか分からねぇ…。
分かりたくもねぇ。
野郎の手を握って、“柔らかい”だの“ましゅまろみたい”だの…。
俺は少しむかついて、おもわずバッと握られた手を振り落とす。
……くそ、むかつく。
人が気にしていることわざわざ言うなよ。
た、確かに俺は男にしては柔らかいほうだと思うよ?
だけどそんなこと言うなよ。むかつく…。
俺だってお前みたいなゴツゴツした男らしい手になりてぇよ。
……ったく、柔らかいとかは女の子の手を握って言えっつーの。
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