仁湖なりの所有印







「はい、乾いたよ。」

「…ありがとう」

「どういたしまして」


チュッと可愛らしい音を立てて、頬に軽くキスをされる。


「膝枕、…する?」

「する」

「多分女の子みたいに柔らかくないよ?」

「仁湖は何処も柔らかくて気持ち良い」

「…俺でいい?」

「仁湖がいいんだ。」

「……ん、おいで」


ベッドの上に座り、ポンポンと自分の膝を叩けば、高瀬はすぐさま俺の膝の上に頭を置いて寝転がる。



「…すげぇ」

「な、何が…?」

「絶景……」

「……え?」

「浴衣が肌蹴て、…鎖骨や胸元が見えて、エロい」

「…ば、馬鹿…っ」

「隠すなよ。…俺に、仁湖の全部見せてくれ」

「…………っ」


甘く優しい高瀬の声。熱い吐息混じりに言われれば、俺はその言葉に従うしか出来ない。



「た、かせ…」

「…仁湖」


高瀬は俺の腹に顔を埋め、腰に腕を回しギュッと抱きついてきた。凄く甘く淫靡な雰囲気に、俺はゴクリと喉を鳴らした。

このままエッチしちゃうのかな?
二回目だし、ちょっと怖いけど、…高瀬にならどうされてもいいかも…



「…たかせ、」

「…………」

「高瀬?」


反応がない。
もしかしてと耳を澄ませば、規則正しい寝息が聞こえてくる。



「……寝ちゃってる」



ここは怒るべきなのだろうか、安心するべきなのか、少し悩む。
可愛い寝顔を浮かべて寝ている高瀬の顔を見て、俺はクスリと笑った。高瀬は俺と違って、バスの中でも集会のときも一睡もしていない。しかも俺をおんぶして運んでくれたり、肩を貸してくれてずっと頭を撫でてくれていたのだ。疲れているに違いない。



「高瀬、ありがとう。お疲れ様。」


返事はもちろん返って来ない。
だけど俺の膝の上で気持ち良さそうに寝ている高瀬の横顔を見て、俺は堪らなく嬉しくなった。





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