二年最後の期末考査が三ヵ月後に控えている。
そのテストの結果で、三年生になれるかどうかも決まっているし、高瀬と同じクラスになれるのかが決まっている。
…とは言っても、三年生になれるかどうかは俺の努力次第だけれど、同じクラスになれるかどうかは運次第だよな…。
しかしそんな後の事を今からグダグダと考えていても仕方がない。今が一番大事なのだ。
「それに!」
「……ん?」
「もうすぐ修学旅行だよ!」
高校二年生の最大のイベントといえば、「修学旅行」だ。二人きりではないけれど、高瀬と旅行をするということは変わりない。俺は楽しみで、楽しみで仕方がないのだ。
「楽しみだなぁ。」
「…今年は何処に行くんだ?」
「高瀬知らないの?」
「……目的が何処だろうと、俺は仁湖が傍に居るだけで十分だから、特に気にしてなかった。」
「………は、恥ずかしい事をサラリと…」
先日高瀬と一線を超えてから、高瀬は更に俺に優しくなったと思う。今までも凄く優しかったけれど、…なんていうか今の高瀬は凄く俺に甘い。
「こ、今年は、長野だよ。長野県。」
「…長野」
「スキー、三泊四日だって。俺、スキーとかしたことないから、凄く楽しみ。」
「スキーか…」
きっと万能な高瀬の事だ。
スキーとかも得意なんだろうなぁ。
修学旅行は一ヵ月後。楽しみで仕方がない。
「高瀬、…あのさ…」
「…どうした?」
「二人部屋が基本らしいんだけど、…俺と一緒の部屋割りでも大丈夫?」
「……それ以外考えてもねぇ。」
「じゃぁ、希望出しとく。」
「ああ。」
よし、高瀬にもOKを貰えた。
万が一にも断られたらどうしよう、ってちょっと思ってしまうんだよなこういうの。
「修学旅行か、……楽しみだな。」
「う、うん。」
行事とかあまり参加しない高瀬だけれど、やっぱり修学旅行は楽しみなんだ。高瀬も楽しみなのだと分かって、俺ももっと楽しみになってきた。
「…特に露天風呂。」
「……っ、け、獣…」
……って、高瀬の考えている方向はあまり高校生らしくなかった。
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