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「…じゃぁ、俺は世界で二番目に幸せだよ。」


本当は心の底から俺が一番の幸せ者だと思っている。
だって俺には勿体無いくらい高瀬は優しいのだ。こんなに俺の事を思ってくれている人は居ないだろう。そんな人から愛して貰えて優しく抱いて貰えて…、幸せ以外の言葉が思い付かない。

だけどここは高瀬の言う通り一番は高瀬に譲っておく。……その理由は本当に高瀬を世界で一番の幸せ者にしてあげたいと思っているからだ。俺が凄く幸せな分、高瀬にはもっともっともっと、…幸せになってもらいたい。



「…ごめん、子供のように取り乱して…っ」


そして今更ながら羞恥に陥る。今まで体験したことのない不安と痛みに耐え切れず、高瀬には迷惑を掛けてしまったし恥ずかしい所を見られてしまった。


「いや、問題ねぇよ。」

「……高瀬」

「子供のように泣きじゃくる仁湖も、また一段と可愛かったし。」

「……っ、…ば、馬鹿、」


ぽんぽんと相変わらず優しい手付きで、背中をさすってくれる高瀬。俺は恥ずかしくて高瀬の顔を見れずに、そのまま照れ隠しのため悪態を吐きながら高瀬の胸元に顔を埋めた。


「……でも、仁湖」

「ん?…何…?」

「…本当に悪かった。」

「…え、なにが…?」

「今仁湖が辛い思いをしているのは紛れもなく俺の所為だ。」

「ち、違うよ…!」


それは違う。これは誰の所為でもないのだ。
強いて言うのならば、体力のない俺の所為。決して高瀬の所為ではない。
だが高瀬は、「…違わねぇよ」と本当に申し訳なさそうに眉間に皺を寄せて謝ってくる。


「高瀬……?」

「がっつき過ぎた。もっと優しくしてやりたいと思ってたのに、…身体はもっと仁湖を欲しがって辛い思いをさせてしまった。」

「本当に違うよ。高瀬の所為じゃない。」

「…仁湖…」

「……それに、俺も…凄く気持ちよかったし…、」


恥ずかしい台詞を吐いている自覚はある。だから最後の辺りは声は小さくなって聞き取り難かったかもしれないけど、これは嘘ではない。



「……でも、少し乱暴に抱いてしまった。」

「そ、そういう高瀬も、

…俺は、好きだよ…?」


ああ、何て恥ずかしいことを言わせるんだっ。
俺は高瀬になら痛みだって何だって与えられる全てが嬉しいのだ。獣のように激しく求めてきてくれるってことは、俺にとっては幸せなのに。


「仁湖…」

「……な?だから、そんな顔するなよ。」


悔しそうで悲しそうな高瀬の表情。
きっと優しい高瀬の事だから、過去の自分の行動を悔いているのだろう。
…だけど俺は高瀬のそんな顔や台詞を聞きたいのではない。




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