「………ぁ、」
高瀬は俺の身体を、まるで壊れ物を扱うかのように優しくベッドに下ろしてくれた。そして俺を仰向けの状態で押し倒し、上に跨ってくる。
上から見下ろしてくる高瀬の目付きは、飢えた獣のようなギラついた目で、少しだけ恐怖を感じる。だけどうろたえることはない。そんな目で見てくれているということは、俺なんかのことをちゃんと性の対象として見ていてくれているということなのだから…。
「…た、かせ…」
「大丈夫。仁湖は何もしなくていい。」
「……う、ん」
「仁湖のいい所を、全部俺が見つけてやるからな。」
「……っ、」
高瀬はそう言うと、額に掛かる俺の髪を横にずらして、額にキスをしてくれた。そんな優しい口付けが、俺の緊張を解してくれる。
…だが次の瞬間、緊張と羞恥と興奮と期待に、…俺の身体はブルリと震えた。
だって高瀬が自分の着ているシャツだけを脱いだのだから。妙に男くさいその仕草に、心臓が煩く高鳴る。
「……、」
「仁湖も脱がねぇとな。」
「ぁ、…うん、」
シャツを脱ぐ高瀬の仕草に目を奪われていた俺は、すぐさま高瀬から視線を外し、着ている服を脱ごうと手を動かす。
「…あ、駄目だろ?」
「………?」
しかしすぐに高瀬から手を止められた。
俺は不思議に思い、首を傾げて、上から見下ろしてくる高瀬の顔を見る。
「全部俺がやる。…服を脱がすのも楽しみの一つだ。」
「……た、かせ…」
プツ、プツ、と学校指定のシャツのボタンが高瀬の手によって外されていく。俺の貧相な身体が高瀬に見られていると思うと、凄く恥ずかしい気持ちになる。
「仁湖、可愛い。」
「…俺は、別に可愛くなんか……、」
「まだ何もしてねぇのに、こんなに立ち上がっているここも凄く可愛い。」
「ぁ、…っ、ゃ…?!」
「こら、暴れるな。」
「…だ、だって…ぇ」
急に胸を触られれば、誰だって驚くに決まっている。
しかもそんな恥ずかしい台詞まで添えられて、こっちは堪ったもんじゃない。
「死ぬほど気持ち良くしてやるから、仁湖は素直に感じてろ。」
「た、かせ…」
「……だが、勝手に意識は飛ばすな。」
「…あ、ちょ、…ン、ゃあ…」
その台詞を吐くなり、高瀬は俺の胸板に顔を埋めてきた。
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