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「ほら、行くよ。」

「……………」



そう言っても高瀬は一向に動こうとしない。
どうやら本当に授業に出たくないようだ。




「高瀬、…俺だって、本当は一緒に居たいよ?」

「………仁湖…」

「だけど、授業受けないと一緒に三年生になれないだろ?……それは嫌だよ。」

「………」

「それとも高瀬は、三年では俺と一緒のクラスになりたくない?」

「……一緒が、いい。」

「だろ?…よし、だから授業出ような。」

「…何か子ども扱いされてるみてぇだ。」



あれ?バレてしまった。
ちょっぴり高瀬のことを子供扱いしてた。
だって拗ねている高瀬が、凄く可愛いから…。

こんなに格好良いくせに、そういう態度を取られたら、何だか甘やかしてしまう。




「…教室戻ろう。な?」

「……ん」



やっと立ち上がってくれた高瀬に、俺は手を差し出す。



「はい、お手。」

「…今度は犬扱いか?」

「わん、って鳴いてみて?」

「じゃぁ、仁湖は猫のように可愛く鳴いてくれるか?」

「……そ、それは嫌だ。」



ふっ、と高瀬に笑われてしまった。
俺なんかが「にゃー」なんて鳴いたって、可愛いはずがない。

だけどこうも優しい笑みを向けられると、凄く嬉しい反面恥ずかしくも思う。
自意識過剰だと言われてもおかしくないだろうが、高瀬が俺を見る目はとても優しくて心地がいい。




「……あ、のさ、高瀬?」

「ん?」

「今度さ、…あの、良ければさ、」

「…?…どうした?」



俺は一呼吸置いた後、震えそうになる声を絞り出して、高瀬にこう告げた。




「高瀬の家に…、

…行ってもいい?」



まさか俺の口からこんな台詞が出るとは思っていなかったのだろう。
高瀬は目を見開いる。




「……仁湖、それってどういう…、」

「…っ、好きに解釈してくれていいから…、」

「………に、こ…、」

「ほ、ほら、戻ろう。」



俺はこれ以上何て言えばいいのか分からなかったから、逃げるように屋上から出て行った。







俺は、今自分なりに頑張ったと思う。


だから、……次は高瀬が頑張ってくれるよね…?






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