俺は睨みつけられるように高瀬に見られ、俯いたまま一歩も動かない。
…いや、動けない。
本当に勘弁してくれよ。
キンコーンカンコーン
そしてチャイムと同時に担当の先生が教室に入ってきた。
もちろん挨拶もせずに、先生は授業時間の50分間話すだけ。
そして生徒達はそれぞれ好き勝手なことをする。
寝ていたり、
話していたり、
喧嘩していたり、
紙飛行機作って飛ばしていたり、
エロ本見ていたり、
……と、それがこのくりょう学園の授業風景。
俺はとりあえず引き出しから教科書とノートを取り出して、机に置く。
きっとこの学園で教科書を机に出すのは俺だけだと思う。
…まぁ、俺も出すだけであんまり話は聞いていないのだが……。
気が向いたときにだけ勉強して、後は教科書を下敷きにして寝ている。
……よし。
寝よう。
だって高瀬の視線が痛いから。
寝れないかもしれないけど、寝たふりでもしていたほうがずっと楽だ。
「…………おい…」
隣から聞こえてきた低い声に、俺は反射的に机に突っ伏そうとした身体をピンッと伸ばす。
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