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…え?何?







今の「おい」って俺に言ったんだよね?




つ、ついに昨日のことで叱声が飛ぶのか…?








俺は恐くて絞り出すように声を出す。







「な、……何?」







「………………」








「……………」









あ、あれ?



返って来ないんだけど?





まさか俺に言ったんじゃなかったのか?



俺は勇気を振り絞って、もう一度高瀬に「何?」と訊く。










「………教科書…」







「……へ?」









「…教科書忘れた…。」









は?何?



“教科書を忘れた?”





何それ?






忘れたんじゃなくて、高瀬は元々持ってくる気もなかったんじゃないか?






…まぁ、そんなこと高瀬に言えるわけもなく俺は頭の中でひたすら考える。









教科書を忘れた=教科書がない=俺は教科書を持っている=俺の教科書を寄こせ








………そうか。





そういうことか。








俺に教科書を寄こせと要求しているのだろうと考えついて、俺は高瀬に新品の教科書を手渡す。






…頼むから、乱暴に扱うなよ。




一年間使う物なんだから。




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