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「……た、高瀬、あ…あの、…その…っ」

「…………っ、」

「い、いきなり…、ごめん…、」

「べ、…別に……、」



高瀬の様子からして、どうやら怒ってはいなようだ。
…だけどかなり恥ずかしい事をしてしまったという自覚はある。
ここは学校で、しかも今は授業中。
自然に身体が動いてしまったからといって、弁解出来る理由には全くならない。
教師にもクラスメイトにもいつ見られてもおかしくはない。



「本当にごめん、…俺、どうかしてた…っ」

「…怒ってねぇよ。」

「で、でも…、」

「……仁湖からキスされて、俺が怒ると思うか?」

「た、高瀬……」


俺と同様、高瀬は頬を赤く染めながらも、嬉しそうにそう言ってくれた。




「…ほら、解らない所教えてやる。」

「う、うん。ありがとう高瀬。」



そして高瀬は先程俺が解らないと言った理科の問題の説明を開始してくれた。


…だけどどうしてかな?


やっぱり高瀬の言葉が上手く耳に入ってこない…。




「た、高瀬、本当にごめん…っ」

「…どうした?」

「あ、…あのさ、その、」

「……?」

「眼鏡、…外してくれませんか?」



高瀬+眼鏡は最高の組み合わせ過ぎる。
思わず見とれてしまって勉強に集中出来ない。
これは俺が高瀬のこと大好きだからという訳ではなく、こんな高瀬の姿を見れば誰だって見惚れてしまうに違いない。



「……これ、似合わねぇか?」

「え?!…ち、違うよ!」

「悪い。もう掛けねぇようにするから。」

「ち、違うったら…!」



や、やばい。
どうやら高瀬は「自分に眼鏡が似合わないから俺が集中出来ない」と勘違いしてしまっているらしい。
俺の言い方がまずかったのかもしれない。
高瀬を傷付けてしまった。



「ち、違うよ!高瀬があまりにも格好いいから!」



俺は早く弁解したいあまりに、大声を出してしまった。
俺の大き過ぎる声に、教師どころか、がやがやと騒いでいたクラスメイト達までシーンと静かになった。



「……ぁ…っ、」



一斉に俺と高瀬に視線を向けられるのが分かる。
俺は恥ずかしさと気まずさから、顔を真っ赤に染めて俯く。



「中村…、高瀬が格好いいのは分かったが、先生の話を聞いていたか?」

「…あ、あの、その…、ご、ごめんなさい。」


教卓の前に立っている先生に鋭い指摘をされて、俺は申し訳なさに焦る。
素直に謝れば、教師は溜息を吐いた後、再び口を開く。



「罰として、教科書94頁の問題を解きなさい。」

「は、はい…。」


…と、俺はそこで再び焦った。
理科の宿題をしていたため、ノートはおろか教科書しか出していなかったのだ。



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