甘い嘘を抱えた二人








俺はとんでもない事をしてしまった。
今更後悔しても遅いのだが、寝ている高瀬を襲うなんて…。

自分だけ射精したことへの罪悪感と、目の前で勃起している高瀬の物を見て興奮してしまったからと言って、寝込みを襲うなんて最低のことをしてしまった。


今俺は興奮で再び勃起していたペニスを静め、冷静になった頭で事態の重さを感じている。




「…で、でも幸いな事に高瀬は気を失っていたままだから…」



俺がこのまま何も言わなければ、高瀬にバレることはないだろう。

そ、そうだ。
俺がうっかり口を滑らせなければ誰にもバレることなんかないんだ。




「だ、大丈夫。自然に対応すれば気付かれることなんてないはず…」


俺はそう思って、暫く引き篭もっていたトイレから出た。




高瀬が居る寝室の前で立ち止まる。
一度深く深呼吸をした後、扉をコンコンとノックして扉を開ける。
…まだ起きてなければ、ちょっと気が楽だ。




「……仁湖、」



…しかし俺の希望と反して、高瀬は既に起きていた。
気を失ったままだから、意識が戻っていて安心する反面、やはり気まずい。



「も、もう大丈夫…?」

「…あぁ。」

「でも、やっぱりまだ頬とか赤い…。」

「……それは仁湖の所為だろ…、」

「え?」

「…いや、何でもねぇ…」



頬や耳は赤く、少し呼吸が荒い高瀬。
だけど俺の言葉にきちんと受け答えする辺り、少しは熱が下がっているようだ。



「…高瀬、あ、あのさ…」

「どうした?」

「い、いつ目が覚めた?」

「……………」



も、もしかして俺が寝ていた高瀬を襲っていた最中に目を覚ましたわけじゃないよな?
…高瀬の答を待ちながら、俺は緊張と恐怖から唾をゴクンと飲み込む。




「……いつだと思う?」

「…え?あ、…ちょ、も、もしかして…」


含みのある言い方をされて、俺は一瞬にして血の気が引いていくのが分かった。





「………さっきだ。仁湖が部屋に入ってくる少し前に目が覚めた…。」

「そ、そっか…」


思わず安堵の溜息が出る。
よ、良かった。どうやら高瀬は俺がしたことに気付いていないらしい。


安心した俺は未だに体温が高い高瀬の熱を下げるために、濡れたタオルで高瀬の逞しい身体を拭き、そしてお粥を食べさせた後、薬を飲ませる。





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