そして暫く経つと、また高瀬がこっちを見ているということに気が付いた。
「…………」
「…………」
な、何?
何だよ?
もう殴ってもいいから、早く用があるなら何か喋ってくれ。
そして用がないなら、もうこっちを見るな。
穴が開く。
こんな殺人的目付きで長時間見られてたんじゃ、穴が開いて俺は死んでしまう。
…それから高瀬が俺から視線を外してくれたのは、担任の話が終わり、帰宅時間になってからだった。
…た、助かった。
今日が新学期のため、担任の話を聞くだけで帰れる日でよかった。
高瀬はそして俺をチラッと横目で見ると、教室から出て行った。
……て、手ぶらかよ。
何しに学校に来てるんだ、高瀬は?
で、でも助かった。
…い、いや安心できないな。
これから席が隣同士…。
同じクラスだというだけで、怖くて嫌なのに、
…俺、ついてないなぁ…。
あぁぁーー…、俺の妄想の葵ちゃんさようなら。
そして俺もそれからトボトボと歩きながら、家に帰ったのだった。
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