忠犬だって狼なんだ。







「…た、高瀬…?!」


涎が出ていることを高瀬に告げると、高瀬は手の甲で乱暴に拭い、赤くなっていた頬を更に赤く染めた。


「ち、違、…」

「たかせ…?」

「べ、別に、仁湖の可愛い口で銜えてもらうのを想像して、…よ、涎が出たんじゃねぇからな…、」

「……え?」

「…か、勘違いするなよ…っ」

「……えっと……、」


それって「俺に銜えられるのを想像して涎を出してしまいました。」って照れ屋がストレートに言えずに、言い訳苦しく言っているようなもんじゃないか…?
…というか、高瀬また墓穴掘ってるんじゃ…。


俺も恥ずかしくて中々素直になれないけれど、高瀬も結構素直じゃないよな…。

よ、よし!ここは俺が素直になって、積極的に行動するべきだよな…っ!



「あ、あのさ…!」

「な、…何だよ?」

「…下手だと思うけど、…その、く、銜えても……、いいですか?」

「…………っ?!」


俺がもう一度訊ねてみると、高瀬は頬だけではなく耳も首も真っ赤に染める。
…何だよその可愛い反応…?これって別に嫌がってるわけじゃないんだよな…?

それならここで一気に畳み掛ければ、高瀬も素直に頷いてくれるんじゃ……、


「……なぁ、…駄目?」

「…だ、駄目じゃねぇけど…っ、」

「じゃぁしてもいい?」

「駄目、じゃねぇけど……、駄目…、」

「高瀬涎出てるよ。」

「………っ、」


ペロリと舌を出して涎を舐めて拭いてやると、真っ赤な顔をした高瀬に、押し倒されてしまった…。
相変わらずギラギラしている高瀬の目付き。まるで“肉食動物”のような高瀬の目に、何故かブルリと身体が震える。



「………何処で誘惑の仕方なんて、覚えてきたんだよ、…この小悪魔…っ」

「だって…さ、この前は俺ばかり気持ちよくしてもらったからさ…、その、高瀬にも気持ちよくなってもらいたくて…」


恥ずかしかったんだけど、必死に頑張ったんだよ…、と高瀬の真っ赤な耳に顔を近づけて囁く。


「……ひゃ…っ?!」


すると高瀬はソファの上で膝立ちになり、俺のベルトを外した後、…高瀬は自分の金属製のベルトも、カチャカチャと音を立てて外していく。


「…いいぜ…。俺も、もう我慢なんてしねぇ。

…覚悟しろよ、仁湖…。」


聞いたことのない高瀬の低い声に荒々しい言葉。
しかし俺は恐怖心が芽生えるどころか、これからのことを考えて少しだけ興奮してしまった…。




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