「ちょ、…だ、大丈夫?!」
「…やばい、今のはきた…っ」
「え?…な、何っ?」
赤い血を鼻からボタボタと零しながら、頬を赤く染め上げている高瀬に俺は心配になる。
高瀬ってそういえば、最近鼻血を出すことが多いような気がする…。普通鼻血って健康な人はあまり出ないよな?
もしかして高瀬って何か重い病気にでも掛かっているのだろうか?
「高瀬、本当に大丈夫か?…そ、その病気とか、そんなんじゃないよな?」
「…ち、違ぇよ。仁湖が…、」
「え?…も、もしかして俺の所為?俺何かした?」
な、何だよ?俺はそんなに衝撃的なことをしてしまったのだろうか?だって鼻血が出るくらいだ。きっと何か知らぬ内に変なことをしてしまったのかもしれない。
「…お、俺何かした?」
「に、仁湖が、…可愛いこと言うから…、」
「は、…はぁ?!な、何だよ可愛いことって…?!」
鼻を押さえながら言い難そうな表情を浮かべる高瀬に、俺は首を傾げる。
大体可愛いって何だよ?何もそんな発言してないのに…。
「し、叱ってもいいとか言ったじゃねぇか…。」
「だからそれは、…高瀬は俺に優し過ぎるから、たまには叱ったりしてくれないと、俺は高瀬に甘えてばかりなっちゃいそうだったから…。」
「……そういう意味だったのか。」
「え?どういう意味だと思ってたんだ?」
「俺はてっきり…、」
「てっきり?」
「い、いや何でもねぇ…。」
「………?」
首を傾げて高瀬の言葉の続きを待っていたというのに、高瀬は一際顔を真っ赤にしたと思えば、続きを喋ってはくれなかった。
「あのさ、高瀬も何かあったら言ってくれよ。…俺のこんな所をどうにかして欲しいとか、もっとこうして欲しいとか、…折角だからこの際に高瀬の思っていることを俺に言って欲しいんだ。」
高瀬の要望通りに出来ないかもしれないけれど、高瀬がどう思っているのかは知っておきたい。
「俺の思っていること…、」
「うん。…やっぱり俺に不満とかあるだろ?それを良かったら教えて欲しいんだけど…。頑張って駄目なところは直すからさ。」
「不満は全くねぇ。」
「全く?」
「あぁ。…全部ひっくるめて俺は仁湖のことが好きなんだ。」
「…………っ?!」
高瀬の嬉しそうな表情を見ると、嘘を吐いているようには全く見えない。
高瀬は俺のことを無自覚だとか言ってくるけれど、それはお互い様だと思う。…何で、そんな恥ずかしい台詞をサラリと言えるのだろう…。
そんな風に言われると、凄く恥ずかしい…。
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