甘やかし上手な彼







昨日高瀬とキス以上、所謂素股っていう行為をした。
高瀬も喜んでくれていたし、俺も、…その、気持ち良かったし、高瀬ともっと親密な関係になれたようで、凄く嬉しかった。


…そして今は日付も場所も変わって、次の日の学校での昼休み時間。


「…………」


「…………」



俺たちの間に一切、会話はありません。




「……仁湖、」


「…………っ、」



いや、もっと正しく言うと俺が一方的に高瀬と顔も合わせず、会話もしようとしていないだけなんだけどさ…。

昨日、“男同士でのやり方”を高瀬からオブラートに包まず、ストレートで教えられ、あまりの衝撃的な事実に俺は悲鳴を上げて、床に散らばっていた服を拾い上げて、その場から逃げ去ったのだ。

高瀬から「まだ早い」、「嫌悪感を持たない自信あるか?」と散々念を押されてから教えて貰ったのだが、俺は高瀬との約束を破って、今現在も高瀬との会話を謝絶している。




「………仁湖、こっち向け。」


「…………」


高瀬にそう言われても、俺はどうすればいいのか分からない。
…だ、だってあんな事実を知って、俺は高瀬にどういう顔をして話せばいいんだ?普通通りに接しようと思っても、高瀬の顔を見ようとするだけで、俺の顔は熱くなりそうなんだ。

何だか俺だけ凄く意識しているようで、恥ずかしいじゃんか…。





「……仁湖」


「…………」


「仁湖、無視するな。」


「……………」


「おい、仁湖。」


「……………っ」


「………チッ」



ガンッ!



横から舌打ちが聞こえてきたのと同時に、隣から聞こえてきた破壊音に、俺の身体はビクっと震えた。
俺が無視し続けていることに高瀬は怒ったのか、何と高瀬は俺ではない方の隣の席の人の椅子を思いっきり蹴った。椅子に座っていた人はドンッと音を立てて落ちて、椅子も激しい音を立てて倒れた。



…や、やばい。高瀬は凄い怒っているんだ。
だけど何で俺ではなくて違う人に危害を与えるんだよ?俺と高瀬との間で起きたことなのに、他の人に迷惑掛けるなよ。俺に怒っているのなら、俺の椅子を蹴ればいいじゃんか。俺を蹴ればいいじゃんか。




「………高瀬の、馬鹿。」


「……に、こ…」



ボソリとそう呟くと、それが聞こえた高瀬は何故だか嬉しそうな表情を浮かべた。何で「馬鹿」って言われて嬉しそうにしてるんだよ?




「…やっと、俺の名前呼んでくれた…。」



「ば、馬鹿じゃないの……。」



何で約束を破った俺を怒らないで、そんなに優しく接してくれるんだよ?俺が全部悪いのに…。高瀬は全然悪くないのに…。

俺は恥ずかしくて高瀬と目を合わせずまま高瀬に、「ちょっと来て。」と言って教室から連れ出した。




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