知ったからには








「大丈夫だよ。だって皆知っていることなんだろ?」


「…まぁ、ある程度の人は知ってるんじゃねぇか?だがやはり仁湖には…、」


「だったら俺だって知る権利はあるだろ?本当に大丈夫だって。」


高瀬は何をそんなに心配しているのだろうか?
俺だって思春期の男子だ。AVとかエロ本とかなら、少しくらい見たことだってある。ただ男同士でのやり方を知らないだけなのだ。
俺は高瀬が思っているほど、そんなに初心ではない。



「…高瀬が教えてくれないなら俺、他の人に訊いてくるけど…、」


「それは駄目だ。許さねぇ。」


うん、高瀬がそう言うのは予想できていた。
予想できていたけれど、こうも焦らされてしまうと、答を早く知りたくて、俺は冗談で高瀬を煽ってしまう。




「教えてくれよ、高瀬。」


「……本当に大丈夫か?」


「うん。」


「嫌悪感を持たない自信もあるか?」


「うん、それも大丈夫。」


「……分かった。仁湖がそこまで言うなら教える。」


「ありがとう、高瀬。」


「…ただし、聞いてからには絶対逃がさねぇからな。」


「……へ?え、…ちょ、…えっ?」



やっと高瀬の口から教えてもらえる、と喜ぶ暇すら与えてくれず、何と高瀬は急に俺の腰に腕を回して、俺を引き寄せる。
そのため今の状態は、高瀬の膝の上に向かい合わせで座っているという、何とも恥ずかしい格好をしているのだ。



「た、かせ、…ちょ、…待って、」



「……待てねぇ。…いいか仁湖。男同士はな…、


…ケツの穴にチンポを入れるんだよ。」



「………ひっ?!」



高瀬は俺の耳元でそう囁くと、耳の中に舌を忍ばせてきた。高瀬の生温い舌がヌルリと蠢かせると、おもわず俺の背筋はブルリと震える。


……っていうか、あれ?
高瀬は今何て言った?

卑猥な言葉がポンッと高瀬の口から出たような…。今のは俺の聞き間違いだろうか?




「……えっと、」


「言っておくが、仁湖から訊ねてきたんだ。逃げる権利は仁湖にはねぇからな。」


いつも優しい高瀬はそう言うと、ニヤリと口角を上げて俺の胸元に顔を埋めてきた。




「……う、うわぁー…っ!」



…俺の口からは悲鳴にも近い驚きの叫び声が出たのは言うまでもないだろう。







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