「…ば、馬鹿……っ!な、何、…飲んで…っ?!」
「ん?…仁湖の精液。」
「ち、ちがっ、…お、俺が言いたいのは…、」
何でそんな汚い物を口で受け止めて、飲み込んだのかだ。
ニヤリと嬉しそうに口角を上げて、さも当然のように言う高瀬に羞恥を通り越して殺意が芽生える。
「は、…吐き出せよっ!」
「もう無理だろ。飲み込んだ。」
「………信じられない……。」
俺のペニスを口に銜えたことだけでも信じられないというのに、高瀬はあの青臭い精液を飲み込んだのだ。
…しかも全く嫌な顔せずに……。
「気持ち悪くなかったのかよ…?」
「仁湖のだから、全然不快に思わなかった。」
「……で、でも…、」
「むしろ俺で感じてくれてる仁湖を見て、すげぇ嬉しかった。」
「………っ、」
…高瀬が俺にした行為は未だ信じられないけれど、そうやって高瀬が嬉しそうに笑って、そう言ってくれるのであれば、俺としては凄い嬉しいことだ。
……だって我慢出来ずに高瀬の口の中で射精したことに、高瀬に嫌われると思ったから…。
「………れ、…やる…。」
「……?…仁湖、もう一度言ってくれ。」
「…お、俺も、今と同じことするっ。」
「は……?」
高瀬は俺の放った言葉に驚いているのか、ポカンと口を開けている。
物凄いことを言ったことは、俺自身も分かっている。
…分かっているのだが、俺だって高瀬に何かしてやりたい。俺ばかり気持ち良くして貰うのではなく、高瀬も気持ち良くなってもらいたい。
「…に、仁湖…?」
「俺だって、…やれば出来るんだ…っ。」
緊張で震えている手を何とか動かして、高瀬のズボンに手を掛ける。
……だが、すぐに高瀬に手を取られてしまった。
「…な、何するんだよ…?!」
「仁湖は、…しなくていい。」
「何で…っ?!」
「何ででも。」
まるで子供扱いされているような気分。…いやむしろどちらかというと、俺なんかでは気持ち良く出来ないと、遠回りに言われた気分だ。
「…お、れだって、…出来るもん…。」
「仁湖がそう言ってくれてすげぇ嬉しいが、…無理はして欲しくない。」
「無理なんて……、」
「……それに仁湖…、」
「な、…何?」
「…“素股”するんだろ?」
嬉しそうに、そして何処か裏のある言い方をする高瀬に俺は何も言えなくて、…ただ高瀬の言う通りにコクンと了承の意味で、首を縦に振った。
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