「…いや、ちょ、た、高瀬…?!な、何してるんだよ…?」
ギラギラした目付きのままで俺のズボンを無言で脱がそうとしている高瀬に、俺はもちろんのこと制止の声を掛ける。
「脱がねぇと邪魔だろうが…。」
…え?
いやいやいや、邪魔じゃないよ。ズボンは大事な物だって!
だから無理矢理脱がそうとするんじゃねぇ…っ!
「高瀬、いくらなんでも、…下はやばいって、ん…、ちょ、…力緩めろ…っ」
ズボンを下に下げようとしている高瀬に必死に逆らう。そうすれば高瀬は、眉間に数本の皺を寄せて、険しい表情を見せる。
…お、俺間違ったこと言ってないよな…?
「…仁湖、大丈夫だ。優しくするから…。」
「いやいや、信用ならねぇよ!…だ、だって、今だって、乱暴じゃんか…っ」
「それは、仁湖が抵抗するからだろ?」
「抵抗するに決まってるよ。な、何でズボンまで…っ」
大体ズボンを脱いで何をしようとするんだよ…。
シャツを脱ぐことだって、脱がせることだって、俺にとっては羞恥以外の何物でもなかったのだから…、ズボンまで脱がされてしまったら、今度こそ羞恥に耐え切れない…っ。
「…仁湖だって、辛いんじゃないのか?」
「…な、何がだよ…?」
口角を上げてニヤリと鬼畜に笑む高瀬に、冷や汗が出る。高瀬のこの表情を何度か見ているのだが、言葉の続きがいい結果だったことが一度もない。
「ここ…、
…こんなに反応してるのに…」
「…ひゃ…っ?!」
高瀬は低い声でそう言うと、ズボンの上から俺の勃起しているペニスを指でなぞる。
…やはり俺の勘は正しかったようだ。
俺にとってはいい答ではなかった…。
今更後悔しても遅いのだが…。
「た、高瀬…?!ば、馬鹿!…何処触って…っ」
いつから勃起していたのかなんて、俺には分からない。もしかしたら最初にキスしたときかもしれないし、首を舐められたときかもしれないし、胸を舐められたときかもしれないし、…もしかしたら高瀬の来ていたシャツを脱がせたときに興奮した所為かもしれない。
…だがこれだけは分かる。
気付いていないほど前から、勃起していたのだ…。
いい加減限界だ。
「仁湖辛いんだろ?」
「ち、違う!…こんなの、全然平気。少しすれば落ち着くし…。」
嘘。全然平気じゃない。
こうして高瀬が近くに居るだけで、こうして肌が触れ合っているだけで、余計に熱くなってくるのが分かる。
だが本当のことなんて、恥ずかしくて言えるわけがない。
「本当に平気なのか?」
「…う、うん。」
「そうか…。平気なのか。
…だがな、仁湖。
俺の方は、…全然平気じゃねぇんだよ。」
ゴリ…ッ
「ひ…っ…?!」
高瀬はそう言った後に、自分の下半身と俺の下半身を擦り合わせてきた。
その刺激に俺の身体はビクンと反応してしまう。
勃起している俺のペニスに当たるゴリッ、とした物に驚く。
……だって、
高瀬も俺と同じように勃起しているのだから…。
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