「ぼ、ボタン、…は、外すよ?」
「……あぁ。」
緊張のし過ぎで、あからさまに手が震えてしまっている俺を見て、高瀬はクスリと端正な表情のまま笑う。
そんな高瀬の態度に俺は怒ることすら出来ない。それほど緊張しているということだ。
高瀬が俺へと向けてくれる優しい表情が何だか妙にくすぐったいほど恥ずかしくて、俺は余計に頬を赤く染める。
そして俺は宣言通り、高瀬のシャツのボタンを外していく。
「…………っ」
や、やばい…。
凄くいやらしいことをしているんだと、改めて実感する。
ベッドの上で寝転がっている俺の顔の横に高瀬は両手を付いている。上からギラギラとした目で俺を見下ろしてくる高瀬に、凄く色気を感じる。
一つ、一つ…、震える手を何とか動かしてボタンを外していく。
四つ目まで外せば、高瀬の逞しい胸板が見えて、恥ずかしくなる。
俺の貧相な身体とは違う、男らしい身体…。
程よく浅黒く、付き過ぎだと言いたくなるほど胸元に付いている筋肉。
そしてついに、最後の一つ…。
全て外したことで、俺と同じように高瀬の上半身は裸になっている。
胸板だけではない、腹筋までもが素晴らしい。
高瀬と比べると、俺は本当に貧相な身体だな…。
高瀬のように色が黒いわけでもないし、筋肉が付いているわけでもない。
…むしろどちらかというと、若干プニプニしているような……。
「…た、高瀬、…これでいい?」
「あぁ、上出来だ。」
「ちょ、…っ、うわっ…?!」
高瀬の要望通りに、脱がせることが出来たことにどうやら喜んでくれたらしい。
…しかし喜んでいるからといって、急に抱きつくなよな…っ。
「高瀬、…肌、…だめ、やっ…」
俺達は上半身裸なのだ。
…そのため高瀬と素肌が重なってしまう。
少し汗ばんだ肌。
心地よい体温。
速く聞こえる高瀬の心臓の音。
どれもこれも、卑猥だ…っ。
「こ、…この後、何かするのか?」
「素股、…するんだろ?」
「…するの?」
結局俺は、“素股”というものがどういうものか知らない。ネットで言葉を知っただけで、どういう内容なのかを調べるの忘れていたから…。
でも素股ってやつが、男同士ですることなんだよな?
…これをすれば、高瀬も喜んでくれるんだよな?
「…そうだな。でもまずは、もっと仁湖に触れさせてくれよ。」
「…ゃ、…っ、ん、それは、…駄目、だって…っ」
優しい音声と裏腹に、高瀬の行動は何処か余裕がなさそうで、いつもより少し荒っぽい。
しかも驚くことに高瀬は、何故か俺のズボンを脱がそうとしてきたのだ。
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