「…高瀬、俺…、」
俺みたいな平凡な奴が、格好良い高瀬から可愛いと言ってもらえるのは、冗談でもお世辞でも嬉しい。
…嬉しいのだが、やはり照れるし、どういう風な対応をすればいいのか分からない。
それに一体、これからどういうことをするのだろうか?
高瀬の言う通り、大人しくしていればいいのだろうか?
「…お、…俺、どうすればいい?俺に何か出来ることある?」
「いや、…仁湖は何もしなくていい。」
「…で、でも、俺も…高瀬のために何かしたい…。」
高瀬ばかりに面倒を掛けてしまうだなんて、そんなのは嫌だ。
俺も何か出来ることがあれば、高瀬にしてあげたい。
俺を見下ろしている高瀬に、真剣な眼差しを送ると、高瀬は少し困ったように眉を下げる。
「……分かった。」
「本当?!」
どうやら俺の熱意が、高瀬に伝わったようだ。
凄く嬉しい。
「そ、それで俺は高瀬に何をすればいい?」
「…そうだな。まずは、俺の服を脱がしてくれ。」
「…………へ?」
ふ、服を…脱がす?
俺が?
高瀬の服を…?
「え、…いや、えぇっ?!む、無理だよっ」
「…“俺のために”何かしたかったんだろ?」
困惑する俺を見て、高瀬は何故か口角を上げてニヤリと笑う。
その悪どい笑みに、危うく挑発されそうになったのだが、俺が高瀬の服を脱がすなんて、そんなのは絶対無理だ。
恥ずかしくて、出来るわけがない。
「…ほ、他にはないのか?その…、俺が高瀬に何か出来そうなこと…?」
出来ればもっとソフトなやつがいいな。
服を脱がすなんて、恥ずかしいこと出来ない。
「……他にって言ったら、もっと激しいのになるけど、……どうする?」
「は、…激しい?」
「そう。激しくて、もっとエロいやつ。」
は、激しくて、もっとエロいって、…そんなの無理だ。俺に出来るわけがない。
俺は否定の意味で、首を激しく横に振る。
服を脱がせるだけでも、十分俺にとっては過激な行為だというのに、もっと激しいことなんて出来ないし、…それにどんなことなのかも訊く勇気がない。
そして慌てふためく俺を見て、高瀬は柔らかな笑みを浮かべると、目尻に軽いキスを落としてくれた。
「…どうする?」
「……へ?」
「俺の服……、
…脱がしてくれるか?」
そうやって耳元で甘く優しく囁かれれば、俺は高瀬の魔法に掛かってしまったように、何故だか素直に頷いてしまう。
俺は恥ずかしさと緊張で震えてしまう手を、高瀬の着ているシャツにまで持っていく。
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