「…それで?」
「え?な、何…?」
「どこまで知ったんだ?」
「えっと…、」
どこまで……、多分これが高瀬の言っている“キス以上先の行為”だと思う。
うん、当たっているよな。いっぱいインターネットで調べたのだから。文明の利器は本当に素晴らしい。
これからも分からないことがあったら、ネットに頼ることにしよう。
「……仁湖?言いにくいか?」
「あ、…ご、ごめん。ちょっと考え事してた。」
どうやら俺が喋りださないものだから、高瀬は心配してくれたようだ。
そして言い難いのではなく、俺が考え事をしていたことが分かって、高瀬は安心してくれたのか、机に置いていたアイスコーヒーを飲みだす。
「えっと、…ネットで知ったんだけど、キスより先の行為って、…ほら、あれだろ?
す、…すまたってやつ?」
「……ぶっ!」
「ちょっ、…た、高瀬?!」
ど、どうしたんだ一体?!
何と高瀬は、飲んでいたアイスコーヒーを勢い良く吹き出し、ゴホゴホと咽ている。
「だ、大丈夫?」
「…ごほ…っ、」
「顔、真っ赤だけど…、」
「に、…仁湖が変なこと言い出すから、」
「え?…お、俺のせいなの…?」
俺、何か変なこと言ったか?
高瀬がコーヒーを吹き出して咽た理由は俺の所為なのか?
…え?…えっ?で、でもネットで調べたらそういう答が出てきたんだけど…。
「ま、…間違ってた?」
「……ある意味間違ってはねぇが、…普通にするよりもっとエロくねぇか?それって…」
「普通?」
「…いや、だから、…仁湖は素股の意味知ってるか?」
「……え?…あ、……そういえば、どういう意味なのか調べてなかった…」
何という失態。
言葉を知っただけで、その内容まで調べてなかった…っ。
「で、…でも、男同士は素股ってやつを、するって、書いてあったけど…」
「…一体何を見たんだよ…」
高瀬はそう言うと、赤くなった頬に付いていた、アイスコーヒーの雫を指で強引に拭った。
「わ、分からないけど、…で、でも、…そう書いてあったし…、ご、ごめん。役に立たなくて。も、もう一度調べ直してくる!」
「待てよ。」
俺はもう一度ネットで調べようと立ち上がると、高瀬に腕を掴まれた。
「…な、…何?」
「……折角調べたんだろ?俺が、素股ってやつ、…教えてやるよ。」
高瀬はそう言うと、掴んでいた俺の腕をグイッと引っ張ると、何故かベッドの上に俺を押し倒し、上に跨ってきた。
153/300