「…えっと、何て調べればいいんだろう?」
“キス以上のこと”?
いやいや、いくらインターネットでもこんなアバウトな検索では、俺の求めている答えは出ないかもしれない。
「…い、一応これで調べてみるか…。」
そう思った俺は、慣れない手つきでキーボードで文字を打っていく。
「えっと、…どれどれ…」
検索結果、約3,800,000件。
「おぉっ、結構あるじゃないか。」
これなら苦労しないで、すぐに俺の求めている答が出てくるかもしれない。
そこで俺は一番上の項目をクリックした。
「…えっと、“首を舐めたり、服の中に手を入れたり”…、って、あれ?」
これなら俺、高瀬と付き合う前に、された記憶があるような…。
「あ、あれ?やっぱり男同士だと違うのかな?」
そう思った俺は検索する項目を変えてみることにした。
えっと、“男同士の恋愛”とかどうかな…?
何だかこんなことを調べるのって、凄い恥ずかしいな。ちゃんと履歴を消しておかないと、家族にバレてしまうな…。
俺は少し冷や汗を掻きながら、たどたどしい手付きで再びキーボードを叩いていく。
「…どれどれ…、」
検索結果、約619,000件。
さっきよりはかなり減ってしまったけど、大丈夫だよな…?これだけあるんだから。
_______
「…うんうん、俺もそうだ。分かる分かる。」
そして30分経った今、俺は“男同士でのキス以上のこと”を調べることすら忘れて、男同士での恋愛の悩みを見て共感していた。
「確かにそうだよな…。手とか人前で繋ぐの、恥ずかしいし、…周りの目とか気にするよな…、」
しかしこれは俺にとっては少し前の悩みだ。今ではそこまで人の目とかきすることなく、手を繋いでいるような気がする…。…というか、帰る時はずっと手を繋いでいるような…。
…あ、やばい。
今凄く、高瀬に会いたくなった…。
あの硬くて大きな手を触りたい。高瀬に名前を呼んで欲しい…。
って…、
「ば、馬鹿っ、…な、何考えてるんだ、俺は…?!」
こんなことしてる場合じゃない。早く男同士でのキスより凄いことを調べないと。
そして高瀬に嫌われないように、それを実践しないと。
「よ、よし、調べるぞ。」
俺は改めてパソコンの前に座って、マウスを右手で握る。
そして20分後…、
脱線ばかりしていた俺はやっと、
「…こ、…これだ…!」
目当ての“答”を見つけたのだった…。
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