恋人の名は?







…あの放課後の告白から二日経った。

“まだ二日しか”、と思うかもしれないけれど、この二日間は俺にとっては、結構濃厚な二日間だった。



まずは思いを告げ合った、あのときの放課後が一番大変だった。

よく分からないけれど、高瀬曰く“スイッチが入った”らしい…。高瀬とのキスに呆けて抵抗しない俺に、高瀬はチュッ、チュッ、と何度も何度もキスをしてきた。
仕舞いには俺を机の上に押し倒してくる始末…。

言い知れない危機を感じた俺は、すぐさま高瀬を退かそうとしたのだが、力の差は圧倒的…。
顔を真っ赤にして涙を目元に浮かべる俺を、上から見下ろしてくるのだ。





…まぁ、あまり細かく思い出すと恥ずかしいのであの日のことを思い出すのは、ここで止めとしよう。






そして高瀬と付き合ってからはメールも電話も一緒に居る時間も、格段に増えた。

毎朝高瀬からメールが届くし、

寝る前は高瀬と電話で話をしているし、

お互いの時間に余裕があるときは、二人で家でまったりと過ごしている。


…付き合う前とやっていることはそこまで変わらないかもしれないが、一つだけ変わったことがある。



それは…、



俺が高瀬に弁当を作ってきていることだ。



あの“一万円”がなくなって、まだ二日間しか経っていないのだが、これからも俺は高瀬に弁当を作っていくつもりだ。
今は必死に高瀬の好きな食べ物と嫌いな食べ物を覚えている。









「仁湖?」


「何、母さん?」


「あんた最近携帯ばっかり扱ってるけど、…もしかして彼女が出来たの?」


「…彼女、…まぁ、うん。恋人が出来ました。」


「やっぱり。おめでとう。」


「うん、ありがとう。」


「どんな子?良い子?可愛い子?」


「…えっと、可愛くもあり…格好良くもあり、…優しい人。」


「へー。…それで?その子はどんな名前?」





「…えーっと、




葵ちゃん"。」








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