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「……あ、……え?」

「呆けてんじゃねぇよ、返事は…?」

相変わらずポカンと馬鹿面を浮かべている俺に、高瀬はふっと笑う。
その高瀬の笑みを見て、「やっぱり格好いいな、こんちくしょう。」なんて思う暇もなく、俺はパニック状態。




“俺のことが好き”?



“手放したくない”?



“一生側に居てくれ”?




な、何今の…?
本当に高瀬が俺に向けて言った言葉なのか?
もしかしたら本当は、都合のいい夢なんじゃないか…?

そう思った俺は…、涙で濡れている自分の頬を指で思い切り抓る。




「………痛い。」


「当たり前だろ?…ったく、相変わらず可愛いんだよ、お前は…」


夢ではない証拠に、頬に鋭い痛みが走った。
思い切り抓りすぎた所為なのか、涙腺が可笑しくなっているからなのか、理由は分からないが、余計に涙が零れてきた。
目元を赤く腫らしてポロポロと涙を零す俺を、高瀬は頬を赤らめて見てくる。

何故高瀬が顔を赤くするのかも分からないし、何で涙が止まらないのかも分からないし…、


…何で胸が痛いのかも分からない。




「……痛い。」

「思い切り抓るからだろ。…赤くなってる。」

高瀬はそう言うと、抓った所為で赤くなった俺の頬を手の平で撫でる。


「…違う。胸が、……胸が痛い。」

「……胸?大丈夫か?」

「高瀬の…、馬鹿。」

「あ゛?」

いきなり生意気な口を叩く俺に、高瀬は凄みの利いた声で「あ゛?」と唸る。


「馬鹿、馬鹿…っ!」

「…仁湖?」

「ずるいよ!…俺の気持ち知ってたんだろ…?!」

「…あぁ。」

「……いつから?」

「仁湖が…、一人で俺の名前呼びながらオナってたとき。」

「……お、…オナ…?!」

高瀬のその言葉を聞いて、俺は一気に火が付いたように顔が熱くなるのが分かった。
やっぱり高瀬に聞かれていたんだ…。
凄い恥ずかしいけど、…今はそれ以上に高瀬に怒っていることがある。





「……お、…俺の気持ち知ってたなら、


あのまま俺から先に“好き”って言わせてくれよ…!」






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