「…高瀬……?」
「だから、……その、」
「うん?」
「……あー……、
きょ、今日は天気がいいな…」
「…え?…あ、うん。」
…ど、どうしよう?
思わず「うん」と言っちゃったけど、全然天気よくないよな?むしろ快晴というより曇天…。
もうすぐで雨が降り出しそうなくらい、空はどんよりしているんだけど…。
やっぱり何か悩みでもあるんだろうか?言いにくくて上手く言い出せないのかもしれない。
「た、高瀬…っ。」
「…お、俺の話はいいから、…仁湖は?何か言いかけただろ?」
「え?…お、俺?!」
「あぁ。」
そ、そうだった。高瀬のことが心配で忘れかけていたけど、俺は告白しようと思って、この場に居るんだったよな…。
まさかこのタイミングで話を振られるとは…。
中々言い出しにくいよな…ぁ。
「…あ、…あのさ…、」
「…何だ?」
「いや、…えっと、だから、その…っ」
身振り手振りを使って、何とか高瀬にこの思いを伝えようとしていたら、机の上に置いていた消しゴムに手が当たってしまい、床に落としてしまった。
「…あ…、」
落ちた消しゴムを拾おうと椅子に座ったまま、上半身を前屈させる。
丁度二人の間ぐらいに落ちた消しゴムは、何と高瀬も拾おうとしてくれたのか、消しゴムを拾う前に…、
何と、…俺と高瀬の手の平のほうが重なってしまった…。
「「…………っ」」
俺は高瀬と手が触れ合ってしまったことに、反射的に息を呑み顔を真っ赤にする。
…チラリと横を見ると、何故だか高瀬も俺と同じように息を呑んで、顔を真っ赤にしていた。
「…ご、…ごめん、高瀬…っ!」
「…………いや…、」
たかが手が触れ合っただけだ。
こんな風に過剰な反応をしていたら高瀬に変な風に思われてしまう…。
…いや、待てよ。
これはもしやチャンスではないだろうか?ここで思い切って告白すれば…っ。
……って、あれ?
「……あ、あの…高瀬?」
「………………」
「…あ、の、手…、離してくれる…っ?」
な、…何で高瀬は俺の手を握っているのだろう…?
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